「期待しすぎ問題」哀しき獣 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
期待しすぎ問題
いろいろな人が大傑作の太鼓判を押しているので、オレもすっかりそのつもりで「歴史的名作をスクリーンで目撃して後々自慢してやろう」くらいの気合で見てしまうとハードルが上がってしまう。変な意識せずに見たかった。
『チェイサー』があまりによかったというのもあるけど、物語の軸も定まっていない感じもしてちょっと期待ほどではなかった。
主人公が途中から存在感が薄くなって田舎と都会のヤクザどうしの仁義なき戦いになっていった。その仁義のなさぶりは凄まじかったが、主人公がおいてきぼりになっているところがあって残念だった。主人公の野良犬ぶりはすごく魅力的だったから物語の中心にいて欲しかった。物語が争いそのものを描くために理由を後付して構成されたものというような感じがした。
しかしそうは言ってもアクションはすごい派手で、車の、しかも高級車を惜しげもなくぶつけまくるのは圧倒的だった。変に意識せずに見たらもっと素直に楽しめたであろう、残念な見方をしてしまった。
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