「知っているのに知らない映画」時をかける少女(1983) CINE LADAさんの映画レビュー(感想・評価)
知っているのに知らない映画
1983年。小学2年生だった私が選んだ映画は「のび太の海底鬼岩城」。ただし原田知世が歌番組を席巻し、ドラえもんに夢中な子どもにも時をかける少女の名前は轟いた。
サビのメロディは妙に耳に残ったが、それでも映画を観ることはなく、テレビでも流れていたのだろうけど違うチャンネルを選び、結局40年弱の年月が過ぎていた。
本作を含めて9回もの映像化がされているらしい。アニメ映画は観た。だから何となく内容は知っている。こんなに知っているのに、こんなにも知らない映画は他にない。スクリーンで観れるとなれば行かないわけがない。ありがとう角川映画祭。
映像やストーリー、演技も演出も音楽も何もかも、古さに溢れていた。だがそれは決して悪い意味ではない。40年前の映画が今と同等だったら、さらに最新作より優れていたりなんかしたら大問題なのだ。
だから安心した。古い映画だった。
古い映画だったのに、やはり素晴らしかった。つまり映画は、前述したような単純な要素だけで成り立っているものでは無いのだ。そもそも素晴らしいのであろう(つまり未読)筒井康隆による原作、大林監督のほとばしる情熱、そして透けて見える原田知世の未来。深町同様に、自分が未来人としてタイムリープしてきたかのようだ。理由はよく分からないが良い時間を過ごせた。
因みにこの映画のメインはエンドロールだと思う。映画を観終えて聴く原田知世の歌が心地よい。歌詞の内容をはじめて理解して鳥肌立った。ジャッキーばりのNGシーンまで盛り込まれたエンディングは正直過去最高レベル。まあ、流れてくる文字は一切読めなかったのだが…。
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