「ファントム・メナス」コンテイジョン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ファントム・メナス
世界中に蔓延する未知の殺人ウィルスによる恐怖とパニックを描いたスティーヴン・ソダーバーグ監督作。
出演者が超豪華。マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレット…。「オーシャンズ11」に負けず劣らず。
潜水艦映画に外れ無しと同じくらい、ウィルス・パニック映画にも外れは無い。「アウトブレイク」も「感染列島」も面白かった。
単純にSFと割り切れないウィルスが、身近な恐怖とリアリティを与えているのだろう。
いくらリアリティがあると言っても一連の作品では、主人公がウィルス蔓延を防ごうと奔走したり、ワクチンを見つけたり、登場人物の誰かが感染して悲恋が始まったり…劇映画的展開が描かれる。映画を盛り上げる為には必要不可欠な要素。
しかし本作では、スター俳優を起用していながら特定の中心人物を置かず、群像劇スタイルで、ウィルスが広く深く蔓延していく様を静かに描く。見えない恐怖に追い込まれていく人々の心理や思惑をあぶり出す。感染や死もドラマチックに描かれず、唐突に感染し、呆気なく死ぬ。
もし実際にウィルスが蔓延したら?…多少盛り上がりに欠けるかもしれないが、ドキュメントかシミュレーションのような淡々とした展開が、緊迫感と臨場感を煽る。
人と人の触れ合いを断つ接触感染が、さらに恐ろしさに拍車をかける。
ウィルスの恐怖と人間の心の闇…この“見えざる脅威”は現実に起こり得そうだ。
起こりませんように。
コメントする