「実際に起こりそうで怖い。」コンテイジョン ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
実際に起こりそうで怖い。
ラストで「あー、おおー、そうかー」と感嘆。演出が巧いなー、と。
この映画、豪華キャストのアンサンブルで、どっちかっていうと内容よりそっちで期待されて観に行かれた方も多いと思うんですけど、“そっち”を敢えて前面に押し出してないのに好感持てましたし、何より各国で巻き起こるパニック、人間模様のコンパクトな捉え方、日常に侵食する行き場のない非日常の恐怖を本当巧いこと一本に纏めてるな、という。
流石、安心と信頼のソダーバーグ。饒舌。
んで、それは良いんですが、世界各地に主要キャラが散らばってるので、一体誰が主人公なの!?ていうのがあって(別にそこ重要じゃないんですけど)。
強いていえば、不条理に嫁と子供喪失で実害被りまくりの可哀想な夫マット・デイモンが主人公になるんでしょうか。若しくは疾病予防管理センター博士で三流フリーライター(ジュード・ロウ)に悪評を撒き散らされるローレンス・フィッシュバーン?
まあ『誰もが当事者であって、誰もが主人公』てことなんでしょうけど。
でも、この映画の真の主役はグウィネス・パルトロウだと自分は思う訳ですね。
冒頭から「おや?」という、ちょっとした“違和感”を提示する某演出と共に登場するグウィネスさん。
その後もフェードアウトすると思いきや、ちょいちょい顔を出すグウィネスさん。
そしてラストで見事に“違和感”の答えを導き出すグウィネスさん。
いやー、グウィネスさん!素晴らしい。
自分、ソダーバーグの映画って、何か演出に洒落っ気を感じて何時も鼻に付くんですけど、今回は素直にラストまで楽しめました。
暴動なんかの描写も実際に起こりそうだったし。そのリアルさに言い知れぬ恐怖を感じましたし。
お見事でした。