「感染及びワクチン開発とデマについての映画」コンテイジョン akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
感染及びワクチン開発とデマについての映画
コンテイジョン
contagion
伝染 感染
ワーナーbros
Participant Media
スコットZバーンズ脚本
スティーブン・ソダーバーグ監督
グウィネス・パルトロウ
マット・デイモン
ローレンス・フィッシュバーン
ケイト・ウィンスレット
ジェニファー・イーリー
チン・ハン
マリオン・コティヤール
ジュード・ロウ
話題になっていたので、見ました。
私にはまだ数回見直す必要があるかも。
撮影と脚本がいい。
ワールドワイドな世界を舞台にした大作。
ただしもちろん新型コロナではなくMEV-1という、より強力に致死力のあるたぶん架空のウィルスが、いかに人間世界に蔓延してゆくかを描いた映画。十年以上前に企画され製作されたと言う。
大衆を煽動するデマの拡散も一種の汚染で、実際のウィルス感染よりも恐ろしいものだと感じた。動画で顔出ししているからと言ってつねに真実を喋っているとは限らないということ。人は信じたいものを信じてしまうのだ。
もちろん権力の監視及びつかの間の安心を与える意味でのSNSは非常に有効だと思う。
この映画ではジュード・ロウ演じるブロガーが意図的にデマを拡散させるシークエンスをちょこちょこはさみながら、感染の物語は進行してゆく。
対するローレンス・フィッシュバーンが、「自らのボートに乗せる客は優先的に助ける」と言ったのは、印象的だった。
あと、人質をとって優先的にワクチンを奪い取ろうとする脅迫に対してはプラシーボで対抗するというのも勉強になった。マリオン・コティヤールが空港で、自分を救出にきた男から突然離れたのは、中国に置いてきた子供たちを心配したからか。ちょっと説明不足に感じたが、途中、私がなにかを見落としていたのかもしれない。
この映画が当時あまり話題にらならなかったのは、リアルすぎてエンタテイメント要素が少ないせいもあると思う。しかし約10年後製作者たちが素晴らしい仕事をしたことが証明された。企画や脚本づくりに2、3年かけたらしい。2020年の現在でも古くなっていないように思う。
ワクチン開発自体も危険ととなり合わせであるし、その配布(接種)もさまざまな誘惑や危険とととなり合わせであることをこの映画は描いている。
あと少し脇道に逸れるけれど、「胃潰瘍」がウィルス原因だということはこの映画の台詞で知った。現代の医学では常識なのだ。
2020年4月の現在は、この映画の結末と同じようになるかはまだわからない。しかしいま人間世界に蔓延するこの新種のウィルスが及ぼす人類への影響を俯瞰するには最適な映画の一本だと思う。
ただ、もちろんこの映画だけではリアルな現実の1/10も描けていないとも感じる。でもそれは、この世のすべての作品が持つ限界でもある。10年以上前にこの大作を企画した製作陣には頭が下がる。
出来れば監督インタビューや脚本家インタビューを探して読んでみて下さい。