「アメリカ合衆国の回復」ものすごくうるさくて、ありえないほど近い トーレスさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ合衆国の回復
9.11が米国民に与えた影響をより生々しく描いた作品。そしてこの事件を機に様々なものを失い、下を向きつづける人々の背中をポンと押してくれる。元々小説だったものを映画化しても平気であるくらいに精神的に回復したアメリカ合衆国を思うととても喜ばしい。やはり、ビルが人を波の如く飲み込み倒壊する様は何度見ても心が痛い。この映画は絶望の淵に立たされた国民が、平穏で普段の暮らしに戻れるまでの軌跡を、少年オスカーの生き様に投影して描いたものである。忘れてしまいたい現実を真っ正面から受け止めた時に人々の心に訪れる恐怖や悲しさ、苦しみ。心に抑圧された、もやもやした感情をオスカー少年は具象化し、見る人の心に宿す。悲しくも安堵の感を抱かせるドラマにたまげた。
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