「父と子の物語、祖父との物語、そしてママとの物語」ものすごくうるさくて、ありえないほど近い kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
父と子の物語、祖父との物語、そしてママとの物語
自分が10歳の頃、一年間で何回オナラをするだろうかと数えていたことがあったけど、100回超えたら数えられなくなった記憶があります。というわけで、20年目の9月11日に初めて鑑賞しました。日本時間で。
9・11以前には、ニューヨークには第6区があったと教えられ、セントラルパークを中心に探検を始めるオスカー少年。探究心が養われ、父の死後は謎めいた鍵を頼りにNY中のブラックさんを探す。
頭は良いがアスペルガー症候群ギリギリのオスカー少年。コミュ障であるため、父親からは人と喋るようにゲームを与えられたりしていた。人生の教師でもある父親像は亡くしてから気づくことが多いんじゃないだろうか。そうして電話帳のデータをフル活用して週2回ブラックさんを訪ねまわる。タンバリンを片手に持って・・・少しうるさい。
マックス・フォン・シドーの間借り人も存在感があるし、ジョン・グッドマンのマンションドアマンもいい。優しい人ばかりだけど、少年の心はどこかが曇っている。喪失感以上に、最悪の日の父からの電話に出られなかったことを後悔し、罪の意識に苛まれているのだ。誰にも言えないし、録音された電話機すら隠してしまったりする・・・
何の鍵かだなんてマクガフィンのようなもの。そのアイテムを使って人との交流がとても重要だった。ママ(ブロック)の秘密の行動にも心打たれましたが、痛みを分かち合う市井のの人々の心にも泣けてくる。何回もハグするブラックさんとか。
結果、オスカーや母親だけでなく、ブラックさんたちも前向きに生きていくことができるように変化したこと。ストーリーも色んな仕掛けがあったりして、小さな冒険も重厚な作品に仕上がっていたと思います。