「シンジがとにかく可哀想になる」ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
シンジがとにかく可哀想になる
シンエヴァ鑑賞のために、過去に観ていた新劇場版を再度見直しました。ぶっちゃけ前回観たのが8年も前だったので、内容に関してはほとんど覚えていませんでしたね。「よくわからん」っていうのが先行してしまって、内容が頭に入ってこなかったんだと思います。当時は今ほどSNSもYouTubeも発達していなかったので有識者の解説も観ることができず、あと個人的にかなり多忙な時期だったので分からないままにしてしまっていました。今回は事前にYouTubeなどにある解説動画を見て、何となく内容を予習(復習?)してから本作を観たので、ある程度は理解することができました。
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『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』からの続編。使徒に取り込まれた綾波(林原めぐみ)を救ったシンジ(緒方恵美)。彼が目を覚ますと、見知らぬ集団に拘束されていた。その集団のリーダーはシンジの世話をしてくれた葛城ミサト(三石琴乃)。シンジはミサトから、その集団は全てのエヴァンゲリオンの破壊を目的とする反ネルフ組織「ヴィレ」であることを明かされ、そして死んだと思っていたアスカ(宮村優子)から、使徒を倒して綾波を助けた戦いから14年経過していることが明かされる。14年の間に何があったのか、14年前の戦いでシンジは何をしてしまったのか…。
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終始暗い雰囲気でストーリーは進みます。いきなり前作『:破』の14年後に時間が移るという時系列の跳躍にも驚かされましたし、ネルフの重要なポストにいたはずのミサトさんがネルフに反旗を翻す描写にも謎が深まります。そして詳細が全然シンジに説明されないまま話が進んでいくので、私もシンジと同じように「一体何がどうなってるんだよ…」と感じながら大人たちに振り回されていくことになります。
『:Q』は鑑賞前から「賛否両論」と話題になっていた作品ですのである程度覚悟して鑑賞したんですが、ここまで殺伐とした雰囲気だったとは驚きです。観客は終始シンジ君と一緒に「訳わかんないよ」と頭を抱えます。周りの大人に苛立ち、唯一優しくしてくれたカヲル君に気持ちが揺らいでしまうのも無理はないことです。
正直、私はこのエヴァンゲリヲン新劇場版シリーズの中では一番苦手な作品です。ぶっちゃけ観てて辛い。しかしながらこれは8年後に公開される「シン・エヴァ」への布石となる作品ですので、観ておくべき作品ではあると思います。オススメです。