「Zのつくやつ」ショーン・オブ・ザ・デッド なつさんの映画レビュー(感想・評価)
Zのつくやつ
ゾンビ映画の中ではかなり好き作品。
テンポとカットがとにかく小気味良い。
長いカートを押す店員、合わせてレジを打つキャッシャー達、ゆらゆらと歩く若者達、携帯を揃って取り出す男の列、両脇に綺麗な列を作る車。
しがない男ショーンは行きつけのパブ、ウィンチェスターで恋人のリズに振られてしまう。
そりゃそうだよ。デートはいつもこのパブでショーンの友人エドもついてくる。記念日もそう。
よく3年も持ったよね…て思うよ。
彼は家電量販店でやる気なく働く三十路男。
エドは職にもつかず、ヤク売人のゲーム廃人のクズ男。
でも親友なのだ。だからリズからもシェアメイトのピートからも誤魔化し庇ってしまう。
そんなエドはどこ吹く風の空気読め男。
リズに振られた日もエドはショーンを慰める為2人でどんちゃん騒ぎ。観ていて、うわぁなんか厨二なノリ…と、つていけない感がすごい(お国柄かなぁ)
クズのエドでも同じ目線で笑えるかけがえのない大親友。ショーンのママと仲良くしてる所を見ると憎めない所もあるのだろう。
そんなショーンの生活を軸に街は徐々に変化していく。
毎日同じ道を通り、同じ場所で滑り、同じ店でドリンクを購入する。
その翌日、人通りのないいつもの道、何かから必死で逃げる人、冷蔵庫には血糊の人手、店主は留守。それらを絶妙なタイミングでスルーしていくショーンにニヤニヤする。
ついにZとの戦いが始まる。
レコード攻撃のチョイスやママとリズを助けて非難するプランの語りとか笑ってしまう。ショッピングモールではなくパブ。だってビールも豚の皮もあるもんドアも頑丈だし←後付け
Z化した養父を捨てママ、リズ、ダイアン&ディビットカップルの6人でウィンチェスターへと向かう。
そのあたりも細かな笑い部分はあるのだが、パブを目前にウヨウヨする大量のZ対策に串刺しになったZをお手本に役者ダイアンによるなりきりZ指導にはえぇーってなる。
もう、ツッコんではいけない…ツッコミ入れたら負け。それがショーン・オブ・ザ・デッド!!
作戦成功、パブの前まで着いた途端エドの携帯がピピピー
薬の売買の話し。そこで初めてショーンはエドに怒鳴りつけ怒りをぶちまける。もうこれ以上は庇えない。
その後、襲いかかるZを1人で引きつけ走り出すショーン。
変わりに指揮を取りたいディビットだが皆、彼よりショーンを信じついに帰還したショーンに歓声があがり彼は行動をテキパキと指示。
冴えない男だった彼がリーダーとなり頼もしい存在、この瞬間、彼は物語のヒーローとなった。
それは大事な人を守る為、エドは足を引っ張る事が多いがショーンの精神的主柱にはなっている。
クィーンの曲のシーンは面白さ集結。
曲に合わせてZ店主をショーン、エド、リズの3人が交互に棒でパシパシ、ディビットは電源スィッチパチパチ、それを見守るママとダイアンのハラハラはそんなライブにノってる様に見える。
今作のZ達はゆっくり歩くし、なんなら素手でも押し返せる。ラケット1本で勝てるほどだ
そんなゆるゆる設定でもゾンビ映画には欠かせない大量のZによるわっしょい状態からのディビットのはらわた引きずりシーン。ゾンビ映画好きにはたまらない。
助けに行くダイアンだが武器はちぎれた彼の足なので感動ではなくコミカル。
カリスマ?ヒーローの覚醒、大好きなママの死、仲間との諍い、極限状態でのリズとの復縁、そして最後のたった1人の親友エドとの別れ。
そんなドラマはおさえてる。
ママがショーンの花束を見つけた時は感動したな。
ゾンビ映画のラストって俺たちの戦いはこれからだ!的に終わったりするけど平和に集結。
ショーンの隣に座るのはエドではなくパブでビールを飲もうと言うリズ。
そして納屋で待っているのは親友のZエド。楽しそうにゲームをする2人をオチにするの好き。
形は変われど、ショーンは彼女も親友も諦める事なく守りきった。
序盤にZの様にヨタヨタ歩き、Zのうめき声の様なあくびをするショーンを観てると、リーダーシップ溢れる彼ではなくなったのだろうなぁ…と
この作品がDVDスルーだったことは知らなかったよ