あなたへのレビュー・感想・評価
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映画らしい映画かな。
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妻に先立たれた高倉が、その遺言により遺骨を海に散布する話。
その旅で色んな人と出会う。
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まあ映画らしい映画かな。
でもいつも言うように、徘徊型の映画はあまり好きではない。
鳩を飛ばす
公開当時に観てあまり印象に残らなかった。それが時を経て二度三度と観るうちに、ぽつん、ぽつんと、腑に落ちる小さな点が増えていく。豆電球がつくように。輝きがちょっとずつ増してくる、そんな作品です。
愛した女性と遅い結婚をした男、その妻を亡くし、弔い(海へ散骨してと遺言)の旅に出る。男も妻も、多くは語らない者同士。妻亡きあと、男は何を考えているのでしょう...二人がわかり合っていたのなら、なぜ妻は共に墓へ入ろうとしなかったのだろう。妻の本意は?自問自答しつつの旅は、男の痛みを治していく道でもある。
『あなたへ』というタイトル。
昔、健さんが自伝本『あなたに褒められたくて』を出された時の記憶をふと思い出しました。息急き切って読んだ末の、大ショック!健さんほどの人が、マザコンだったのか?と(大変失礼な表現でゴメンなさい)。でも先日引退表明した白鵬も、同じようなコメントで。「母に、よく頑張った、と言ってもらえたのが嬉しかった」。また別の番組では老教授が「妻を亡くした哀しみは、妻の前で輝いていた『自分』を失った悲しみだと気付いた」と。
あのショック。でもあれは健さんのせいじゃない。「高倉健」は、誰もが認める男の中の男。でも本に書かれた「健さん」は決して強くはなく、むしろとても繊細だった。それが私は無意識にショックだったのでしょう。弱く幼い人間は、守ってくれそうな人に自分のヒーローや守護神のイメージを勝手に着せ、拠り所にしようとしますから。
どんなスターやヒーローたちも、自分だけを照らしてくれる母や妻を太陽にして、生きている。
この主人公もそんな一人かもしれません。
真面目で仕事一筋の善人、不器用だが責任感の固まりのような男が、訳ありの女性と遅咲きの恋をし、結ばれて、幸せだった。ずっと二人三脚で人生を歩もうとしていた。男として一人の女性を守り通そうと決意していた。その覚悟、確かに愛かもしれない。
でも本当は、守り通していたのは、妻のほうだったのではないか。妻が太陽になり、寂しさや孤独に凍えないよう男を守ってくれていたのだとしたら。
むろん男は、自分が妻を守っていたと信じている。妻だって、経済的にはもちろんのこと精神的にも守られていたはず。でも太陽を傍におくことは、もしかすると太陽自身の自由意思を閉じ込めさせた部分もあったかもしれない。
妻の遺言は鳥の絵手紙。
「夫婦愛」というカゴに住む、つがいの鳥だったのか。安全安心。でも。魂には一個一個、個有の希求がある。カゴに押し込めきれない無意識の声に、どれほどの大人が耳を傾けられるでしょうか。
亡くなった妻は夫より一足早く、自分の声に向き合えたのかもしれません。妻亡き後を生きる夫にも、魂を成長させる促しを仕込んでから逝きます。
散骨のために夫を旅させる。
妻亡き後もなお、夫婦愛の思い出のカゴの中で生きるであろう夫を、カゴから連れ出す旅。貴方自身の魂の成長、その旅が始まりますよと、妻の声なきメッセージが響くようです。散骨の旅は、妻が準備してくれた夫の飛翔訓練だったのではないか。
功を奏して、道中いろいろな出会いがある。
袖ふれあうも多生の縁。
カゴは、もう長年で男を守るシェルターのような固い殻にまでなっていたかもしれない。縁にふれ、揺れ始め、殻が割れ始める。魂がまた動き始めた。
主人公よ、この妻の愛に気付け...!
ずっとその声がわたしの中では鳴り響いていました。彼の人生で、妻ほど彼の幸せを祈ってくれた人はいなかったのでは。それは肉体が滅んでも、継続している。でも男には聴こえない。「妻はわたしのことをどう思っていたのでしょう...」。
食堂の奥さんが、男に言った一言。
「夫婦といえど、全てはわからないでしょ。」
奥さん自身に向けた一言でもあったでしょう。こんな何気ないゆきずりの一言が、男の殻を一撃し、何かが溢れました。
「鳩を飛ばす」という隠語が出てきます。
主人公は食堂の奥さんの「鳩」になり、あるメッセージを、ある人に運ぶ。奥さんは主人公に、頼んだのではなく、ただ委ねた。主人公を動かしたのは何だったのか。
旅に出る前、主人公にとっての愛、それは人生の助手席に妻が座って居てくれること。大事な人を守ることだったかもしれない。でも愛とは、鳥を大事にカゴに囲っておくこと、だろうか。妻は妻、男は男の、魂の旅がある。孤独そうかもしれないが、そうではない。縁は一本一本、広い網目のように繋がっている。
主人公は自分が「鳩」になった時、自分も誰かの縁の一部だと、実感したのではないか。夫婦に限らず、誰もが広く繋がりあった網の一部だと。
自伝で健さんはスターであると同時に、人としての弱さを持ちながら生きていることを、わたしに晒してくれた。今ならわかります。弱さを見せられる強さ。でもほんとは弱いも強いもない。そう簡単には分けられない。
世界を動かしているのは法や政治、お金や同調圧力。でもそれだけじゃない。人は「鳩」を翔ばしあっている。小さな思いと気遣い。思いがけない縁で何かが起きる。意図せぬ愛となり、人が動き動かされ、助けられる。
魂がどうしたいか。
それに従って生きるしかない。誰かの幸せを祈りつつ。
カゴに押し込めるのは他人じゃなく、自分かもしれない。翔べるか不安な時は、この作品を思い出そうと思います。
てっきり健さんが囚人かと思ったら
結婚する前の井出洋子は童謡歌手として刑務所の慰問コンサートで歌っていたのだ。それも大勢の囚人のためを装って一人の内縁の夫のために・・・
洋子の故郷長崎へと英二(高倉)はキャンピングカーで旅立った。岐阜では埼玉から来た元国語教師の杉野(ビートたけし)と出会い、京都ではいかめし販売の田宮(草彅剛)、南原(佐藤)と出会う。次は竹田城址。天空の城として上手く撮れてる。
山口では杉野と再会するが、彼は車上荒らしの常習犯だったのだ・・・門司で田宮、南原と再会。長崎の漁師大浦(大滝秀治)を紹介してもらう。長崎では食堂を営む濱崎家に世話になり、7年前に夫を亡くしたという多恵子(余)と飲み明かす。
無事散骨も済み、またもや田宮、南原と会った英二。南原は実は多恵子の夫であり、失踪して別人になったという告白を聞くのだった・・・
健さん最後の作品となったが、そのことが重くのしかかる。もはや夫婦愛などというテーマがどこかへ飛んでいってしまいそう
繰り返し観ることをお勧めします
健さんの最高傑作のひとつです。
初見でこの作品を理解するのは、かなり難しいと思います。
脚本が素晴らしいのですが、大事なことは何も言いません。
散骨の旅をしながら、健さんは三つのケースに出会います。
・道を見失った人
・一歩を踏み出す勇気のない人
・過ちを犯したものの、やり直したいと思っている人
健さんは、やり直したい人に対して、鳩の役割を果たします。
健さんをこの旅に導いた奥さんもまた、健さんによって立ち直ったひとり。
物語は循環しています。
ただの散骨話ではなく、大きなスケールの物語。
初見では何とも思わなかったシーンも、物語を理解してから観てみると、全く隙がありません。
薄香に着いてからは名シーンの連続。
感涙の臨界線で右往左往する羽目になりました。
インタビューで『ディア・ハンター』を引き合いに出し、時代と映画の関係に触れていた健さんが、震災後の日本に対してこの作品を撮りました。
ただ歩くだけのラストシーンは、やり直したいと願う”あなたへ”の無言のメッセージ。
遺作になってしまったのは非常に残念ですが、遺作にふさわしい最高のラストシーンだと思います。
しかしながら本作品は、この分かりにくさゆえ、正当に評価されていないと感じていて、思わず長文レビューになりました。
健さんファンの皆さん、繰り返し観ることをお勧めします。
稀な映画体験ができる、大人の作品です。
妻を亡くした後に、男はどう生きるのか
先立って亡くなった妻が、生前に残した手紙に書かれた遺志通り、妻の故郷に散骨するために旅をする主人公が、旅の途中で出会った人達との交流を通して、これまでの夫婦生活を振り返りつつ、夫婦とはなんだろうかと考えるロードムービー。
高倉健にとっては、盟友とも言える降旗康男監督と最後のコンビであり、遺作となった。
亡くなった妻(田中裕子)は夫(高倉健)に、2つの手紙を残した。一つは「故郷の海に散骨して欲しい」と書かれ、もう一つには「さようなら」と書かれているだけだった。
一緒の墓に入ろうと思っていた夫は、生前に散骨したいなんて言わなかった妻の真意が図りかねる。妻を大事にしていたからこそ、妻がなぜ、生前に本音を言ってくれなかったのか悩みながらも、自分でキャンピングカーのように改造したワゴン車で妻の故郷である九州へと向かう。その旅路で、立派なキャンピングカーで放浪する自称元教師(北野武)、デパートの物産展に出店するため出張を続ける若い青年(草なぎ剛)、その青年と一緒に働きながら何か影のある男(佐藤浩市)などと出会う。
こうした登場人物の誰もが、「妻」「夫婦関係」を語る。
旅で出会った人間だけでない。主人公の同僚(長塚圭史)は夫婦揃って主人公を気遣う。妻の故郷で世話になった若い娘(綾瀬はるか)は結婚を目前にして、その夫となる男は主人公の散骨を助ける。若い娘の母(余貴美子)もまた、夫婦について主人公に大事な言葉を残す。
登場人物たちは、これから結婚する若者を除き、それぞれ妻・夫に対する思いがあり、夫婦関係には他人が立ち入れない関係性を持っている。
刑務所の刑務官として曲がった事をせずに生きてきた主人公は、長く独身を貫いていたが、ある時に妻と出会った。妻は死んだ亭主への思いを断ち切れずにいたが、夫と出会ったことで再び恋をし、二人は晩婚ながら結ばれた。そのため、この夫婦の結婚生活は15年ほど。しかし、夫は精一杯妻を大事にして来た。妻も夫と仲睦まじく暮らしていた。そんな夫婦だからこそ、夫は隠し事などないと信じていた。だから妻が残した2通の手紙の意味がわからない。旅を続けて妻の故郷にたどり着いても、それがわからない。
そんな主人公に、余貴美子演じる女は、「迷って当たり前なんじゃないか。夫婦だからって、相手ことを全てわかるわけじゃない」と語る。
そんな言葉を聞き、ようやく夫は妻の残した言葉を少し理解した。
そもそも、夫は妻の故郷にすら来たことがなかった。妻がどんな街で育ったか、それすら知らなかった事に故郷に来てみて気がつく。そして、妻が2つの手紙を時間差をつけて送ろうとした意味にも気がつく。
そんな主人公だが、旅の途中で出会った男達が、それぞれ問題を抱えて犯罪的な行為をしていても、それを許容した。刑務官として曲がった生き方が出来ないながら、彼らの事を許容する包容力や優しさ。妻は、そんな夫の仕事ぶりから見えてくる魅力を愛した。
そんな妻が残してくれた思いを受け取ることで、夫は、妻のいなくなったこれからの人生を前向きに生きていくことができるのだ。
晩年になって妻を亡くして生き方に迷う男性が多いという。そういう社会の男性へ、降旗監督なりのメッセージだろか。年齢的な問題もあるかもしれないが、筆者には今ひとつピンとこない作品だったが、ロードムービーとして、それなりの出来にはなっている。
主人公は、旅先で出会った自称元教師や、影のある男が、犯罪的な生き方をしていても彼らの事を、どこか認めている。彼らを認める一方で、認めてしまった自分が刑務官として失格であることは自覚している。だから、辞表を郵送する。そんな「包容力」や「不器用さ」は、降旗康男監督が高倉健に与え続けた「男の姿」でもある。
個人的には高倉健の作品では、『幸せの黄色いハンカチ』や『遙かなる山の呼び声』の山田洋次との作品の方が相性いいのだが、遺作としてこれはこれでアリなのだろうと思う。
高倉健
高倉健さんの演技初めてみた。
出演者が豪華だった。ナイナイの岡村が阪神ファンとして少しだけ出演していた。
旅の途中で出会う人たちとのふれあいや亡くなった妻との回想シーンがよく描かれている。
この映画を見てひとり旅をしてみたくなった。
一人の女性の中にいる二人の男
ようやく高倉健さんの映画「あなたへ」を観ました。
NHKのドキュメンタリーなどは、かなり前に観てはいたのですが。
この映画のタイトル「あなたへ」という意味が最初わかりませんでした。
よくよく観ると、この映画は自分が愛した女性の中には、
自分よりも愛する他の男がいて、その想いは消すことが
できないものだという、女性の物語なのだと気が付きました。
それが故に、この映画には様々なバックグラウンドを持つ
女性が登場してきます。
ある女性は夫に献身的な人だったり、またある女性は
行方がわからなくなった夫をひたすら待ち続ける人だったりと。
最後に佐藤浩市さんの伏線がラストに持って来られているので、
どうしてもこの映画の一番言いたかった事が読み取りにくい作品になっていると思います。
ラストに高倉健さんが不倫されている夫を演じる草彅剛さんをジッと見つめて、そのまま一人歩いて去っていくシーンは、ものすごい男の孤独を感じさせるシーンでした。まさに、これぞ高倉健さんの映画なんだと思いました。
自分は本当に愛した妻に愛されていたのだろうか?と
自問自答しながらの旅の終わりに、男が見た結末とは、
やはり妻には心から愛した男が別にいた(死亡した受刑者)
それは変わることがなかったと、あらためて思い知らされるという。
映画なので、様々な見方があり、様々な感想があるのが当たり前だと思います。
ただ、この映画のメインテーマが美しい「夫婦愛」だと勘違い
している人が多いような気がします。
そうではなくて、実はどんなに愛し続けても
愛されることはなかったという、男の「孤独」がメインテーマであり、
それを肉体や表情でお芝居できるのは、唯一、高倉健さんだったという映画だと、私は思いました。
受け入れる立場にあるのが女性だと仮に動物的に考えたとしたら、
それは仕方のないことなのかもしれません。
いつも選択するのは女性で、選択されるのは男性。
そんな感想を持った映画でした。
季節外れの風鈴ほど、悲しい音はないもの
映画「あなたへ」(降旗康男監督)から。
今回は、オーソドックスに気になる台詞を選んでみた。
作品冒頭、夫婦役の高倉健さんと田中裕子さんの会話。
「いい音だ」と、風鈴の音に感激する夫。
「でも、秋になったら忘れずにはずさなきゃね。
季節外れの風鈴ほど、悲しい音はないもの」と妻。
この会話が核となって、物語は展開する。
「いつもでも自分のことを思い出してくれるのは嬉しい、
だけど、時が来たら、私のことを忘れて、
あなたの人生を歩んでください」
そんなメッセージを伝え、妻は病気で死んでいった気がする。
ラストシーン間近に、夫が悟るシーンを発見して頷いた。
「女房にとって、自分はなんだったんだろうって、
そればっかり考えながらここまできました」と悩み続けたあと、
「あなたにはあなたの時間が流れてる、そう言いたかったんだと」
だから、墓に埋めずに「故郷の海へ散骨」という方法を、
「あなたへ」と書いた、夫宛てのはがきを残したに違いない。
全体には切ない物語だったが、夫婦とは?・・と考えさせられた、
静かだけど胸にしみた作品である。
ちょっと物足りないけど、いいかなって感じ
静かな共感を積み上げつつ話が進みます。
かなり後半で漸く、綾瀬はるかの、見たことがあるポーズ(シチュエーション)の記念写真に萌えました。
そしてラストでは、そうきたかという意外性で納得し、引き続いて、次は草なぎくんのために北海道を目指すのだろうなと勝手に想像させられて、好感しました。
おそらく健さんと同じフレームにいることを意識過剰な、一部キャストの演技が残念でしたが、佐藤や余はさすがにしっかり、綾瀬もマイペースで演技していて、いい感じでした。
健さんのことはアンタッチャブルです(笑)。
日本映画
映画『あなたへ』を見ました。勿論、主演の高倉健さんは素晴らしいのですが、脇を固める、草なぎ剛さんや佐藤浩市さん、綾瀬はるかさんの演技も素晴らしかったです。そこにその人が本当に生きているような感覚にさせられました。
正に鉄板中の鉄板d(゚∀゚)b
昨今ではこれ以上ない鉄板の映画じゃないでしょうか(゚∀゚)
高倉健という日本映画界の至宝にして稀代の名俳優、ハリウッドでも好評価を得ていて、尚且つ邦画創世記から今に至るまで長年第一線で活躍してる役者を主役に据えてくそ映画なんて撮れるはずもなく、健さんが出演するというだけでもう名作間違いなしと言ってもいい(・∀・)
仕事が刑務官、しかも定年退職して再雇用された嘱託の刑務官という設定Σd(゚∀゚d)イカス!
受刑者の作業を監督しながらも、木工作業を趣味でやっていて、慰問に来た歌手と遅い結婚をし、奥さんが死んで遺骨を故郷の長崎の海に散骨すると言う、お涙頂戴的なベタな設定ではありながらも健さんが演じることでこの脚本自体が絵になると言うか命を吹き込まれるという感じがする(´・ω・`)
富山から長崎までなんて相当な長距離を車で運転してくなんて、年取った体には相当こたえるはずなのに、奥さんの遺骨を散骨してくれという遺言を全うすべく何の葛藤もなくそれを決意するだけでも相当なもの(;・∀・)
途中草なぎ君と佐藤浩市に会って、ちょっと手助けをするだけだったはずが仕事まで手伝ようになる下りなんて、実際に健さんが酔っ払いにタクシーと間違われてどこどこまで行ってくれと言われてそのまま従って送って行ったというエピソードと被るし、長崎の漁港に到着した時に焚火に当たるときもずっと立ちっぱなしなのも実際撮影所で焚火に立ちっぱなしで当たるというエピソードをそのまま再現してるような感じで、もう役を離れて完全に健さんそのものを映してる感じ(゚д゚)イーヨイイヨー
つうかもはや完全に健さん本人だろこれ(・∀・)イイ!!
草なぎ君が酔って健さんに絡んだりしても何も言わずただ黙ってるし、たけしが実は車上荒らしで盗難車に乗ってたということが発覚した時も何も言わないし、とにかく多くを語らず無口で、激昂することなくあるがままを受け入れるという姿勢が実に渋い( ´_ゝ`)
奥さんから送られた最後の絵はがきの「さよなら」ビエェェ。゚(。ノωヽ。)゚。ェェエン!!
そして古びた写真屋にある奥さんの子供のころの写真を見て一言「・・・ありがとう」。・゚・(ノД`)・゚・。
今は亡き大滝秀治も最初は船を出すのを渋ってるけど、熱意にほだされて散骨に協力して船を出し、そして散骨時には静かに合掌する(-人-)
大滝秀治の遺作としてもこれ以上ない傑作ではないかなと(。_。(゚ω゚(。_。(゚ω゚(。_。(゚ω゚(。_。(゚ω゚ )スペシャルウン
ところどころ挟まれる田中裕子扮する奥さんとのエピソードの落ち着いた感じもいいし、歌も素晴らしい(∩´∀`)∩
そして佐藤浩市が実は・・・っていう設定も、途中から何となく分かるけどちゃんとそれも回収している辺り好感度高いイイネ♪d('∀'o)
とにかく地味で静かで淡々と進んでく、何も事件らしい事件は起きないけど、地に足がしっかりついた大人の映画という印象。
文句なんてつけようがない上品な映画ですd(-∀-。)ネッ
健さんへ。
「このヒトって、映画俳優、だよね?」
友人にそう云われてハッと気付いた。あーそうか。そうなんだ。
高倉健という存在は映画スターという存在以外の何物でもない。
歌を唄って詩を書いてブログをやって(これはやってるらしいが^^;)
舞台にもTVドラマにも出ているマルチタレントとはワケが違う。
健さんは本当の映画俳優、映画スターなんである。
どこでそれを感じることができるか。
私世代のような若輩者は、健さんのリアル壮生期を観てきていない。
彼の佇まいも台詞回しも、例えばあのCMの「不器用ですから…」が
板についてからは"ああいう芸風"の役者さんなんだと思っている人も
少なくないと思う。
ちなみに彼は、不器用どころかエラく器用なのらしいが^^;
今作で初めて高倉健を観た人(?)がどれだけいるかは分からないが、
極端に少ない台詞や動き、乏しいともいえる感情表現以外で(失礼)
圧倒的にこの人の持つ魅力に気付かされるのが、その「佇まい」だ。
御歳80歳を超えて、この立ち姿の素晴らしさ。
港町で、市場で、刑務所で、お土産屋で、食堂で、旅館で、車外で、
高倉健という、彼そのものが映画を構築していると言ってもいいくらい、
何処にいても何をいっても彼が映画(絵)になっているのだ。
何十秒も黙っているのに、観客に一秒たりとも視線を外させない俳優、
台詞の合間、合い間、に余韻を残しては、主人公の心情を正に伝える。
こんな風情を醸し出せる俳優が(名優といわれる中でも)いるだろうか。
いわゆる演技派で売る人ではないが(ホントすいません正直で)
そこにいるだけで「映画俳優」って凄いことだ、とただ思うのみである。
母親が彼の大ファン(私の親世代はもの凄く多いと思う)で、
そりゃもう、早速、付き合うことを余儀なくされた^^;観るつもりでは
いたけれど、これは時期を誤ると大変なことになったのだと後で知る。
公開間もなく観に行った私達は(満席とはいえ)まだ余裕があった。
それが大変、週が明けたら劇場チケット売り場は大混乱と化した(爆)
あっちこっちで罵声が飛ぶ。オバちゃんオジちゃん大騒ぎで押せ押せ
状態行列、「どうして観れないの?」「何で満席?」「駐車券出してよ!」と
もう~^^;劇場スタッフの皆さんが気の毒なくらいスゴイ有様だった。
もちろん今作以外の作品を観にきたお客さんからは「何で買えないんだ?」
(順番待ちになるもんね)…健さん、この騒ぎをご存じでしたか?^^;
さて肝心のお話の方(爆)は、至ってシンプル。
妻を亡くした刑務官が妻の遺言(海に散骨)に従い、長崎まで旅をする話。
道中で様々な人間達と出逢い関わっていくという、ロードムービーである。
その出逢う人々も豪華すぎるほど豪華で、チョイ役でカメオのように出演
する人もいる。みんな健さんが好きなのねぇ~。
受け身の立場で彼らの世話を焼いていた健さんが、妻の真実に目覚めた後、
重要な進言を、とある人間に残す…という、粋な設定。
緩急鋭いわけでもなく、淡々と物語は進行し、健さんの衣装すら変わらない。
せめて健さん、旅館では帽子と上着を脱いで欲しかったけどなぁ~^^;
景色の素晴らしさと健さんの佇まいの素晴らしさを味わえ、
あ~映画って(映画俳優って)こういうものだったよね、、、昔は。と、
改めて思い返す意味での秀作。高倉健は日本映画界の宝だと賞賛する。
(イーストウッド卿と並んで長生きして欲しい御人。明日の映画界のために)
身近なことに重なる日常
さすが健さん、あの間が絶妙で素敵でした。
妻と夢見たキャンピングカーでの旅、明日への希望。
故郷への散骨を希望。
自分の親の話を見ているような気になりました。
愛情の表現はいろいろ、十人十色。
夫婦の形もいろいろ。
様々な思いでみる映画。
ただ散骨の骨がいかにも作り物だった点と旅が意外と近かった点、
少し引っかかりました(^^;
普段の自分の旅がおかしいのかもしれませんが(笑)
「あなたへ」の題名通り、妻との関係に主体を置いて他の描写を控えられていたので雑音が少なく見れました。
最近の感動物って感動の押し売りが多いけれど、これはそういう印象が少なくて見やすかったです。
期待しすぎてしまいましたf^_^;
高倉健さんの佇まいは別格として、佐藤浩市さんの存在が最初から最後までなんか納得いきませんでした。
久しぶりに田中裕子さんの笑顔を見て、ホンワカ気分になりました。
清々しく優しい作品になりました。
映画館は、たくさんのお客様です。みんな、久しぶりの健さんを今か今かとお集まりのようですね。
「あなたへ」なんてタイトルに、ハンカチ片手に観ていましたが、そんなノスタルジーだけの映画じゃ無く、心温まる優しさに包まれた映画でした。
亡くなられた奥様からの遺言に、健さんは車で奥様の故郷へと旅に出ます。
そこで、もう一通の最後の手紙を受け取るために。
素晴らしい景色と雑多な人間模様を織りまぜながら、旅は終着となりました。
遺言の散骨も無事終わり、訪れた古い写真館に飾られていたセピア色の写真は、きっと奥様でしょう?
最後のはがきに残された「さようなら」の言葉に、健さんの中で止まってしまっていた時間が動き始めたようでした。
すべてを知る奥様からの、最後のエールと感謝の気持ちなのでしょう。
エンディングワードの「さようなら」を、自分ならどの様に受け止められるのかな?そう思いながら、優しさに包まれて映画館をでました。
(。-_-。)
季節外れの風鈴の音ほど、物悲しく響く事はない!
ビックスター高倉健主演の本編を観られる事の楽しみは、彼の特別なファンに限らずに、邦画ファンなら、誰が観ても間違いなく、楽しみなロードムービーだ!
高倉健主演の「あうん」のプロデューサー古市聖智が遺したオリジナル作品であると言う本作品「あなたへ」は久し振りに、邦画らしい、邦画を観られたと言う非常に満足感が得られ、観終わった後は、正に気持ちがほのぼのと満たされる秀作であった。
健さん演じる倉島英二は、妻洋子(田中裕子)を最近亡くしたばかりだが、その亡き妻が2枚の絵手紙を残していたが、1枚は彼女の生れ故郷である長崎の平戸市の郵便局でしか受け取れないで、しかも受け取るにもその期限も限られていると言うので、英二は生前妻と一緒に旅行をする予定で、手作りで改良を加えて準備をしていたその愛車を走らせて、一途に平戸市へと向かう。しかも、その妻の遺言では、遺骨を故郷である平戸の海に散骨をして欲しいと言う最後の希望だった。
平戸へと向かう旅の途中で、様々な人々との出会いを通して、亡き妻洋子にとり、英二と言う自分の存在とは一体どんな存在であったのだろうかと、熟年夫婦の心の拠り所を再度見つめ直す旅を始めるこの作品は、観ていて感慨深いものだった。
平戸の郵便局で受け取った妻からの絵手紙には、只一言だけ、「さようなら」と記されていた事で、洋子にとって英二の存在とはどう言うふうに映っていたのかと、英二は自身の存在に対する疑問を持ち始めるのだが、かつて英二が妻の洋子に対して、自分の時間を止めてしまう事無く、自分自身の人生を再び歩んで生き直して欲しいと激励するのだが、洋子もそれに応える様に、今先立って行くにあたり、一人遺された英二が、洋子との想い出の中だけに生きる事無くして、残された英二自身の余生を精一杯、満足のゆく人生へと再び歩み直して欲しいと願う、妻の命がけの愛のメッセージには心を打たれる。
人生とは、時に本当に残酷で、予告無く或る日突然愛する者との死別がやって来るものだ。しかしその遺された人間にはその生涯を終わらせるまでに、再び亡き者と共有した時間とは別の人生の時間が必ず存在している。その新たな別の人生を大切に生きる事で、より一層亡き者と過ごした愛の時間を高いものへと昇華させる事が出来る事を知らしめてくれる本作は、究極の人間愛をテーマとして描いている作品と言える。
そして、同時にこの作品は、私達が持つ、もう一つの愛、郷土愛の存在の良さを再び教えてくれるのだ。郷土愛の1つの表れとして、遺骨の散骨を故郷で行う事を望むと言う表現で象徴している。自分の人生を護り、育んで来た自然の存在に対する精一杯の愛の表現を描いている点である。人は死んだその後でも帰省を望むと言う、言わば生物としての帰省本能とも言うべきか、自己の郷土に対する愛が表現されているのだ。
一方、旅で出会う若者の三浦貴大演じる卓也は婚約者奈緒子(綾瀬はるか)の漁師であった父南原慎一(佐藤浩市)がかつて、漁で遭難し、亡くなっているにも関わらず、その娘の奈緒子が漁師である自分と結婚する事を望んでくれている事に対して、心より感謝し喜んでいる。これこそが生活の場である故郷に対する郷土愛の最大の愛情表現でもある。
今日では、都市化が進み、郷土色が失われつつあると言うが、故郷がこうして生きる生活の場として、自然に受け継がれて生きていく事の素晴らしさも教えてくれる、邦画ならではの素晴らしいテーマだ。
夫婦でも総て相手の気持ちを理解している事なんてありはしないと語る多恵子(余貴美子)の存在も忘れてはならない。
幾つもの素晴らしい愛を描いている本作は素晴らしい作品だが、私は個人的な好みとしては、洋子と英二の散骨をめぐる話しだけで終わらせると、よりシンプルであり、尚一層、純粋で解り易い作品としてスッキリとする事が出来たと考えているが、あなたはどうこの映画を観るのだろうか?楽しみである。
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