「高倉健と旅をする」あなたへ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
高倉健と旅をする
高倉健。
今や死語となった“銀幕スター”を体現出来る唯一の存在である。
数々の映画から寡黙で不器用というイメージだが、素顔は意外とユーモア溢れる。
先日「スマステ」に生出演(!)した時、「“TVタックル”のスタジオに行きたかった」ととぼけたユーモアで、緊張する香取・草なぎの両名を和ませてくれていた。
そんな懐の広さが、ビートたけしを始め多くの人々に慕われリスペクトされている。
色んな意味で大スターと呼ぶに相応しい。
“高倉健は何を演じても高倉健”と言われる事もある。
確かにほとんどの役柄は変わり映えしない。
でもそれがピタリとハマる場合がある。
“高倉健は何を演じても高倉健だが、やはり高倉健でないと成り立たない”場合である。
「幸福の黄色いハンカチ」や「鉄道員」がそうだ。
「鉄道員」なんか、もし高倉健でなかったら、あそこまでの作品にはならなかっただろう。
本作もピタッとハマった。
亡き妻の遺骨を故郷の海に撒く為旅をする。
また作品雰囲気も高倉健本人のようだ。
真面目でありながら所々ユーモア溢れ、人の善意を感じ、人に感謝したくなる。
正直妻の遺言の意味が今一つピンと来なかったが、そんな不器用さも含めて。
漫画やTVドラマの映画化が氾濫する今の日本映画界で、昔ながらの実直な映画作りと、80過ぎてもスターとして輝き続ける高倉健に「ありがとう」と言いたい。
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