「繰り返し観ることをお勧めします」あなたへ 凪さんの映画レビュー(感想・評価)
繰り返し観ることをお勧めします
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健さんの最高傑作のひとつです。
初見でこの作品を理解するのは、かなり難しいと思います。
脚本が素晴らしいのですが、大事なことは何も言いません。
散骨の旅をしながら、健さんは三つのケースに出会います。
・道を見失った人
・一歩を踏み出す勇気のない人
・過ちを犯したものの、やり直したいと思っている人
健さんは、やり直したい人に対して、鳩の役割を果たします。
健さんをこの旅に導いた奥さんもまた、健さんによって立ち直ったひとり。
物語は循環しています。
ただの散骨話ではなく、大きなスケールの物語。
初見では何とも思わなかったシーンも、物語を理解してから観てみると、全く隙がありません。
薄香に着いてからは名シーンの連続。
感涙の臨界線で右往左往する羽目になりました。
インタビューで『ディア・ハンター』を引き合いに出し、時代と映画の関係に触れていた健さんが、震災後の日本に対してこの作品を撮りました。
ただ歩くだけのラストシーンは、やり直したいと願う”あなたへ”の無言のメッセージ。
遺作になってしまったのは非常に残念ですが、遺作にふさわしい最高のラストシーンだと思います。
しかしながら本作品は、この分かりにくさゆえ、正当に評価されていないと感じていて、思わず長文レビューになりました。
健さんファンの皆さん、繰り返し観ることをお勧めします。
稀な映画体験ができる、大人の作品です。
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xmasrose3105さんのコメント
2021年9月29日
数年おきに、さっき3回目でしたが、観るたびに感想が変わる、なんと奥の深い映画かとあらためて思い、レビューを読んでいました。凪さんのレビューに共感。