「やられた」ワン・デイ 23年のラブストーリー U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
やられた
アン・ハサウェイがとにかく可愛い。
とても切ないラブストーリーで、鑑賞中はニヤニヤしたりヒヤヒヤしたりで、全く飽きる事がなかった。
7月15日を起点に数年に及ぶ、彼らの恋愛を見守る事になる本作。2時間って上映時間の枠の新しい使い方みたいな感じもする。
ラストシーンに彼等が過ごした1夜のその後が語られるせいもあるのだろうが、経過が色褪せる事がなかったように思う。
過ぎていく時間や、変わっていく環境、更新されていく価値観もそうだけど、大概の作品では設定のような形で終わるのが、今作はそれらが全て純然たるスパイスとして残っていく。
提示される「今」をより濃くより深く理解する為のスパイス。見事なストリーテリングだった。
もちろん、俳優陣がその数十年を違和感なく演じてくれればこそだ。
皆様、素晴らしい。しっかりと各々が経験してきた年月を背負ってくれてた。
物語の核は、とても単純なものなのだけど、このシュチュエーションはよく分かる。
通説には女性の方がドライに割り切れるなんて話も聞くのだが…この2人には当てはまらなかったのであろう。
常にそばにいてくれるあの人。
友達以上恋人未満。
腐れ縁?親友?そのどれでもない。
だけど、ずっと気持ちが離れない。
惹かれる気持ちが燻り続ける。
楽しくも辛い年月だったと思う。
その時々のアンの表情がとても心に刺さる。
何年にも及ぶ気持ちの揺れを豊かに表現してくれた。
溢れた気持ちが通じた後の彼女は歯止めが効かず1年経っても変わらない所なんかはとても興味深い。まるで恋の定期預金を解約したてのようで、金遣いならぬ恋遣いが荒かった。とても嬉しくて楽しくて、幸せだったのだろうと思う。映画は時に過剰な表現を必要とするが、あんなに開き直られるとかえって気持ちがいい。
ラストでまだ恋の入り口に差し掛かかってる彼女はとてもキュートだった。
デクスターには明らかに勿体ないと思いつつも、彼女の幸せはデクスターからしか得られないのだろうなと思う。
そんな彼女は事故で死ぬ。
まさかの展開ではあったのだが、その死がもたらす物は、思い出だった。
人は思い出と共に生きていくのだなと思う。思い出して楽しい時間がたくさん出来るように「今」を生きていけばいいのかな、と。
アン・ハサウェイは可愛かったけど、アン・ハサウェイが可愛いだけのラブストーリーではなかった。
大好きだけど!