「マリリンの内面を知って、また彼女に恋をする」マリリン 7日間の恋 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
マリリンの内面を知って、また彼女に恋をする
何と言っても話題はマリリン・モンローを演じたミシェル・ウィリアムズ。
マリリン・モンローを演じるなんて相当なプレッシャー。コケれば大ブーイング。そんなプレッシャーをはねのけ、見事に演じ切ったと思う。
決してミシェル・ウィリアムズ自身、マリリン・モンローに似ている訳ではない。
しかし、仕事や人気者ゆえのストレスや悩み、コリンとの束の間の恋で見せるあどけない笑顔…時に繊細に、時に無邪気に演じ分け、マリリン・モンロー本人同様、見る者を魅了する。
歌や踊りも披露し、オスカー候補も納得の名演。
ミシェル・ウィリアムズばかり注目されるが、ローレンス・オリヴィエを演じたケネス・ブラナーだって特筆もの。
ケネス・ブラナーも、ローレンス・オリヴィエを演じるプレッシャーは相当なものであり特別なもの。
シェイクスピア劇を多く手掛けるケネス・ブラナーにとって、ローレンス・オリヴィエはその大先輩。
そんなプレッシャーを感じさせない、大スターとしての貫禄、マリリンに振り回されイライラする姿などをユーモアを滲ませ、絶品。
新人助監督コリン役のエディ・レッドメインもウブな青年の姿がハマっており、エマ・ワトソンもハーマイオニーの時より可愛らしい。
マリリン・モンローの秘話を描いた映画だが、終始コリンの視点で話は進められる。
映画界に憧れ、映画界入りし、束の間ながら世界の大スターと恋をする。
フィクションならまだしもノンフィクションなのだから驚き。
ある意味、映画ファンの夢を叶えてくれる映画。
マリリン・モンローを映画界が作り上げた虚像として見てきた事が多い。
本作ではそんな彼女の無垢な真の姿や複雑な内面を知り、また彼女に恋をするだろう。
最後に疑問なのだが…
本作はゴールデン・グローブ賞でコメディ・ミュージカル部門にノミネートされ、ミシェル・ウィリアムズは同賞同部門主演女優賞を受賞した。
でも、どこがコメディなのだろう?ミュージカルなのだろう?
マリリンの内面を描いた人間ドラマのハズ。
本作品だけでなく、時々ゴールデン・グローブ賞の選別に疑問を感じる。