道 白磁の人のレビュー・感想・評価
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白磁の個性。
失礼ながら、まったく存じ上げなかった人であった…(恥)
韓国では日韓の架け橋として活躍したことで有名らしい。
それが今回、浅川巧の生誕120年を記念し、
日本と韓国が協力して撮り上げたということからも伺える。
監督の高橋伴明は最近、実録映画に凝っているのか?と
いうラインナップだったが、今回の作品もまた実在の人。
しかし同じ日本人から見ても、これは勉強になった。
彼の功績が何かとてつもない歴史的なものという訳でなく、
韓国の人々の心に残る人間性を遺した、というのが凄い。
林業技術を皮切りに様々な方面に興味を持ち、工芸品の
研究紹介も努めていたらしい。白磁の器は本当に美しい。
彼がそう言われたのが手に取るように分かるのだ。
何事にも偏見を持たず、何人にも怖れを成さず、信念を
貫き通した日本人の素晴らしさ。こんな人がいたのか。と
今さらながら私達は、多くのことを学ぶような気がする。
だが(爆)
笑えることにそんな優れた人間性の持ち主でも不器用な
箇所は多々ある。それを補い心を添わせる同僚や友人達、
家族、先生、それぞれが適材適所を成しているのも面白い。
彼の唯一の同志となるチョンリムとの友情は計り知れない。
ほぼ全ての日本人が朝鮮を蔑視し罵っていた最悪の時代、
そんなことには耳もくれず、日本人と同じように朝鮮人と
応対する浅川の行動がどのくらい奇妙なものに映ったか、
前半のドラマ部分では、そのあたりが鮮やかに回想される。
人類みな兄弟。を地でいく自然体の優しさが溢れていた。
本当に…こういう作品を観る度に思うのは、
こんな人ばかりだったら戦争など起こるはずなかったのに。
国柄・土地柄で差別すること自体がどれほどバカげているか、
その憎しみから戦いに身を投じ、亡くなっていく憐れさも深い。
そして時代が時代だから(仕方ない)と言う中、
一方向に流されない信念の強さは見習いたいところだと思う。
違うと思ったら堂々と意見を述べ、相手に食い下がる勇気は
ことなかれ主義に身を置く現代人には耳の痛い話だと思った。
戦いや差別などは、この国の繁栄に何の利益ももたらさない、
そう思った浅川は堂々と自己主張し、独自の道を歩んでいく。
これこそが本当の「個性」だよな…なんて観ながら思ったりした。
彼の生涯を追い続けたドキュメンタリーに近いドラマだが、
俳優陣の見事な演技が感情の機微を巧みに表現、観応えある
ドラマになっていたと思う。後半やや冗長になるところが惜しい。
(吉沢悠くんゴメンなさい。今まで名前の読みを間違えてました^^;)
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