ベニスに死すのレビュー・感想・評価
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ビョルン・アンドレセンの衝撃
難解であればあるほど傑作感が増した時代の産物。エンターテイメント性はない。但し、このコロナ禍で見る意味に於いては高い評価がされて良いかも。裏読み深読みすればするほど傑作感は増す。それ以上に何よりもこの映画の再会の国府関はビョルン・アンドレセンの発掘であろうことは紛れもない。手塚真の『ばるぼら』と併せて見ることをお勧めする❗
美しい……
美しすぎる少年に溺れていく初老音楽家のストーカー物語。
タージオが怖いくらいに綺麗。
映画スタッフ全員が彼に惚れ込み、彼を綺麗に撮ることに全身全霊をかけたとしか思えない…。
映画ってこんなにセリフがなくても成り立つものだったか、という驚きはあったものの、ストーカーオヤジの苦悩は美しくはないな。
が、この醜さがあるからこそ、タージオの美しさがより際立つのか。
少年の美しさと人生の終わりと
生老病死を目の当たりにした老いた作曲家の様子が身につまされる。原作小説はトーマスマンが30才の頃に執筆されたそうだが、既に心の中は老境にあったのだろうか。
主人公のモノローグの代わりに多くがクラッシック曲で語られているのが叙情性を高めている気がした。そして、ビスコンティ監督特有の豪華なエキストラシーン、主人公の心の慰めとなる美少年とその家族の様子がひたすらに眼福な作品だった。
美少年の美に耽溺してゆく初老の作曲家
久しぶりに観賞。
ビョルン・アンドレセンはやはり超絶美少年。
ただ美しいばかりではなく、気品がある美しさ。
世の中に美少年は数多といるが、彼ほど品位のある美しさを持つ少年はいないだろう
タージオの美しさに惹き付けられていく
アッシェンバッハの気持ちもわかる。
ヴィスコンティもビョルン・アンドレセンの
美しさに魅了されながら撮影をしていたに
違いない。
映像も音楽も美しい。
美しい絵画を観賞している気分を味わった。
魂の芸術作品
美しい~~愛しき芸術作品~~タージオの美は言うまでもなくなんだけど、ほんとみんな喋んないのね、なのに老作曲家役のダーク・ボガードの魂の表現がほんと凄い。病に蝕まれ、汗だっくだくの中で、自分の行動の愚かさを嘲笑するようにカラッカラの声で笑うの。心震えた。
間の使い方が優雅過ぎ、終始音楽が美しいので カフェとかバーで流れて...
間の使い方が優雅過ぎ、終始音楽が美しいので
カフェとかバーで流れてたら丁度ええな
なんで美少年は美少女より儚げで官能的で物憂げなんや…
最高〜 タジオのスタイリング決めた奴は金メダル
腕を後ろに持って歩くのも何からなにまで意味ありげに見え美しさとは罪
めちゃくちゃ影響うけてタジオがかぶってたような白い帽子を買うことを決断
主人公が友人と議論してる場面があるけど
まじで高尚すぎて意味分からず
芸術家とか作家とかそっちの創造者の人達って
身を削り地獄で踠いて傑作を出すみたいな作業あるよね
人生〜
終始 見る側に解釈を考えさせるような雰囲気だなと思う
セリフよりも表情の寄りや変化が多く感じ、
ちゃんと見てたら少し疲れるので
悪魔的美少年のPVだと思ってみると丁度良し
そして主人公にもタジオにもちゃんとモデルがいることがビックリ
そういうのを知っていくとより映画って楽しいね
美に翻弄され醜態を晒し殉死する、老芸術家の最期
トーマス・マンとマーラーとヴィスコンティによる美学と醜悪のデカダンス。原作の設定では小説家のアッシェンバッハを、モデルのマーラーに合わせて作曲家に変更して、全編に渡り交響曲第5番のアダージェットを使用しています。アッシェンバッハの葬送曲なら第9番のアダージョが合理的ではと思うも、水の都ベニスの映像と調和するアダージェットが素晴らしい効果を生んでいます。例えば、ベニスを離れようとして駅に向かう時の重く沈み込んだ表情と、荷物の不備に託けて再びタジオに会える喜びに浸る対照的な両面でアダージェットは、アッシェンバッハに寄り添い同調し、且つ悪魔的な誘惑としての曲のイメージもあります。
映画は原作のベニスを訪れる動機の導入部を省略し、アッシェンバッハを乗せた蒸気船が海を進むシーンをタイトルバックにしました。空と海の境界のない灰色の世界からゆったりと現れる蒸気船と遠浅の海岸線のカットバックが素晴らしいです。音楽と映像の融合はラストショットまで完璧です。砂時計の逸話で語るアッシェンバッハの最期は、すべてが落ち切ってから、つまり誰にも見送られることなく現生を去る事になりました。死と恍惚のなかタジオに手を差し伸べ息絶えるアッシェンバッハの、美に捧げた生涯といえる最期が唯一の救いです。
ヴィスコンティは後期ロマン派音楽のブルックナーを何度か使用しています。「ベニスに死す」から5年後の亡くなった時の記事に、最後はブラームスの交響曲第2番を聴いて静かに眠りについたとありました。マーラーやブルックナーではなくブラームスと知って意外な印象を持ちました。それでも充実した巨匠の生涯を想像させます。
クラシック音楽では制作当時マーラーブームが始まろうとしていた時代でした。私自身もこの映画の関心から、マーラーを知り、ワルターやバーンスタインそしてテンシュテットが指揮するマーラーの音楽の虜になっていきました。
美少年に導かれて亡き娘の元へ…
ヴィスコンティの作品は、映画好きの友人に薦められて「家族の肖像」を観て、内容はあまり覚えてないけど…難しかったと記憶しています。
そしてこの「ベニスに死す」も難しかったです。美学・哲学・芸術学のような…。でも自分なりに解釈できるとスッキリしました。
いろんな解釈があると思いますが私は…
最初の方でアッシェンバッハが娘と奥さんの写真にキスをする場面があり、そのあと過去の回想で3人で仲良く寛ぐ場面も… そして、小さな棺が運ばれ泣いている夫婦。
アッシェンバッハは美少年タージオを初めて見た瞬間に彼が「死の番人」だと感づき、それでも抗えない「死」の魅力にとり憑かれていき、どちらの道を選ぶか悩んでいたアッシェンバッハは、死神タージオに導かれて自ら望んで娘の元へ…
ミュージカルの「エリザベート」のイメージですね♪
最初は恋の病におかされて亡くなった説でしたが、死神説の方がしっくりくるなぁと…(^^)
それにしても、タージオ少年、美しすぎるけど…ママの美しさにも目を奪われました!!
おっさんが美少年をストーキングする映画
療養のためベニスに来たおっさんが、そこで見つけた美少年を延々ストーキングする映画。
監督のやりたいこと・言いたいことは分かるけど、今の映画のテンポに慣れた人にはかなり辛いと思う。
映像は美しいけど、BGMのマーラーも相まって環境ビデオっぽい。
美の渇望は生きる活力となるか?
ルキノ・ビスコンティ監督によるドイツ三部作第2作。
Amazon Prime Videoで鑑賞(レンタル,字幕)。
原作は未読です。
アッシェンバッハがタージオに抱いた感情とはなんなのだろう。恋なのか憧れなのか崇拝なのか。そんなことを考えながら観ていました。アイドル・ファンの視点で考えると、推しを愛でる感覚と同じなのかなぁ、なんて思ったりしつつ。
生きる気力を失っていたアッシェンバッハは、タージオの美しさに心を打たれ、次第に活力を取り戻していきました。それと同じかは分かりませんが、私は推しの頑張っている姿から元気をもらっていますし、だからこそ応援しようと思える。
アッシェンバッハが追い求めた美とは、努力と創造の果てに生み出されるものでした。しかし、老いと共に作曲も思うように行かなくなり、友人からそのことを批判され、身も心も疲弊していました。そんなときに出会ったタージオは、完成された美を持っていました。性別を超越した中性的な美しさ。うっとりしてしまうような魅力に溢れているなと思いました。
アッシェンバッハは、どんなに頑張っても辿り着けなかったものを持っている彼に夢中になって、じっと彼を見つめ、どこまでも追い掛けていました。やっぱりこれは恋と云うよりも、憧れの感情に近いのかもしれない。それが彼に幸せを与えるのと同時に自らの醜さを実感させられ、その崇高さに容易に声も掛けられない。めちゃくちゃプラトニックな感情。
しかし、世界は残酷でした。コレラに感染したアッシェンバッハは、キラキラと輝く海に佇むタージオを見つめながら、その生涯を終えました。明るい未来が待っていそうなタージオに対して、若づくりのための白髪染めが溶けて黒い汗になり、白粉がまるでピエロのような物悲しさを漂わせる姿のアッシェンバッハ。対比が印象的なラストシーンでした。
人生は対比に満ちているのかもなぁ、と…。幸福と不幸。若さと老い。生と死。本作で描かれたものは、生きている上で逃れられないものばかりだなと思いました。
どんな形であれ、「好き」は生きる力をくれる。
その結末が幸せなものだったとしても、反対に不幸せなものだったとしても、愛を求め続けて命を燃やした日々は、人生にかけがえの無いものを与えてくれるのかもしれない。
※修正(2023/05/23)
よく眠れた
ビスコンティの映画は必ず眠くなるのだけど、その中でも特に眠かった。見始めると5分で眠くなるので、見終わるまで10日くらい掛かった。主人公のおじさんが顔を白塗りにしていたのは、笑った。冗談でやっているのかと思ったらそうではなく、真面目でやっていたのでどうかしている。とてもつまらなかった。
けっこう素でキモい
高校生の時トーマスマンの原作を読みこの映画も観たはずなのに本はともかく映画こんなキモかったっけ?!とビックリした
昔観た後はもっと芸術とは…死とは…若さとは…美のもつ悪魔的誘惑とは…みたいなエモい感情が渦巻いたような気がするのだけど今回はおじさん本当気持ち悪いしなのに顔ドアップ多すぎるし長いしで最後の方ちょっと寝てた
映像だとおじさんのいたたまれなさというか哀れさ道化ぷりが激しく顕著 悲劇というよりむしろ喜劇の描き方だと思う
ビョルンアンドレセンの美しさは言わずもがななんですけど本で読んだ時のイメージとやっぱ違うんだよね
まあ 神々が渾身の力を込め贅の限りを凝らして完成させた史上最強最高傑作芸術作品ビョルンアンドレセンを堪能できるので出来はともかく映像的価値は永遠に下がることはないでしょう
砂時計
マーラーの名曲が響く。対比が美しい。
特に最後のシーン。海と陸。黒と白。直立と座位。若さと老い。生と死。いくら努力しようとも決して到達し得ない美しさ。その美は存在そのものが尊い。砂時計はひっくり返した瞬間からゆっくりとしかし確実に落ちていく。生から死へと。砂が減っているのに気づくのは砂がほとんど落ちてからだと言う。自分の力では到達できない美しさを生命という砂をすり減らしながらみた彼。ベニスでの療養のはずが逆に心身を痛ませる結果になった。砂時計の砂は上にはいかない。それは、美を追求する彼がみたものを忘れることができないように。彼もまた椅子から落ちた。広い砂浜へと。
彼は美を追い求め、その中に沈んでいった。彼がかつて愛していた子の死は彼をより観念的な海に身を沈めさせたのかもしれない。現実の悲壮は現実で癒すか、現実とは遠く離れた場所に訪れることでしか癒えないからだ。後者をとった彼はベニスに死す。優美な化身が海の中で踊るのを目にしながら。
芸術家の死
主人公が最後の地とするベニスも、美の象徴ともいうべき愛しのタージオも全てが主人公の夢なんじゃないかと思えるような、そんな芸術家にとって完璧である最後の時。
主人公の一喜一憂する表情とタージオの常に完璧な顔のコントラストに魅せられ、共感する。
圧倒的な美と生命に溺れてしまった男?
タイトルとギリシャ彫刻の様な美少年の映像で有名なこの映画。
午前10時の映画祭で観なければ、
多分観ることはできなかったかもしれない。
映像に拘るビスコンティーの作品だけに、
とにかく全ての衣装や調度が美しい!!
美術館のヨーロッパ絵画がそのまま動き出した様な画面。
通りすがりの貴婦人たちの衣装もさることながら
やはり主人公グスタフを魅了してしまうタージョの衣装!
その姉妹達の衣装もなんと上品で可愛い〜〜
ちょっと難しい映画だけど、
美しい映像体験として観ても良いと思います。
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
芸術家が創作活動にも家族関係にも行き詰まって、
何かを変えようと思った時には
もう自分の命の終わりが近づいていた〜
と言う話だと私は思いました。
最初の方に出てくる砂時計の話が象徴的で
「昔、家にあった砂時計は砂の落ちる穴が小さくて
砂が減って行く様子がほとんど判らない。
気が着いた時はもうほとんど砂が残っていない。」
いろんなものに行き詰まっていたグスタフ。
そんな時に出会ってしまった美少年タージョ!!
単なる美少年では無く
ギリシャ彫刻のアポロンの様に
圧倒的に神々しく命に溢れた美少年〜〜
彼は奥さんも子供いたし、ゲイという訳ではなさそう〜
自分が見失ってしまった完全無欠な美と溢れる生命力の塊〜〜
中年男はそのパワーに魅了されてしまったんだな〜
その感じはなんと無く解る。
とても残酷で悲しい話よね〜〜。
それにしても、
そんな高尚な映画にも関わらずおばちゃん目線としては
いくらリゾート地とは言え、四人も子供のいる母親が
(末っ子はまだ6〜7歳に見えたけど)
伝染病の噂の流れてる街になんでいつまでも居るの??
トットと離れるでしょ!!
周りの人たちがどんどん離れていって、
賑やかだったビーチも最後は10人も人が居なくなってた。
家庭教師らしき女性もなんで、浮浪者が屯ってる街を
子供と女性だけでウロウロしてるんだろう!!
哀れな主人公のおっさん以上にそこが気になってしまった。
そういう所を突っ込む映画では無いのは重々承知だけど
気になっちゃたら仕方ないよね〜
@もう一度観るなら?
「何年か後にまた企画上映があったら映画館で〜〜」
理解不能
仏映は得意ではないが、午前10時の映画祭で上映されるとあって鑑賞。
老への抗い・・・美の追求・・・?!反して美少年(これだけは納得)への思慕・・・?!ピエロのような哀愁?!
前から後ろから、上から下から、斜めから観ても私には理解不能でした。
初めての経験ですが、「ウソだろ!!!」と上映後大笑いしてしまった。
リド島の海岸
若さと老い、
果たして老いは醜いものなのだろうか。
髪を染め、化粧をしても、あの醜悪なギター弾きとさして変わりはないではないか。
魂を悪魔に売り渡さないと良い芸術はできないのか
道徳と背徳
家族と孤独
美しい少年と老いてゆく男
売春婦の弾く抑揚の無いエリーゼのためにと、タージオの弾く溜めのあるエリーゼのために
山間の風景と海
喧騒のベニスと、人々が立ち去ったベニス
様々な対比が繰り返される
タージオのアッシェンバッハを見つめる瞳
タージオはアッシェンバッハの中に一縷の美しさを見たのではないか
美しさとはうわべではなく内面にあるのだと
美しさとは矛盾の上にあるのではないと
アッシェンバッハはタージオの美しさに惹かれたのではなかったか
しかし、それは愛に昇華していく
エンディングのタージオに降り注ぐようなリド島の海岸の海のきらめきは美しい
アッシェンバッハは髪から染料が溶け落ちて死んでゆく
しかし、美しさは何かを知って息絶えたようにさえ見える
二人の指の指し示した先には何があるのか
二人を結びつけたサインなのか
これを観て、リド島の海岸に行ってみようと思った
多分、生まれて初めて少年に対する愛情を観たのはこの映画だ。
美少年とは、タージオのことだとも思った。
感慨深い映画だ。
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