劇場公開日 2011年10月1日

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「圧倒的な美と生命に溺れてしまった男?」ベニスに死す 星のナターシャさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0圧倒的な美と生命に溺れてしまった男?

2019年9月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

タイトルとギリシャ彫刻の様な美少年の映像で有名なこの映画。
午前10時の映画祭で観なければ、
多分観ることはできなかったかもしれない。

映像に拘るビスコンティーの作品だけに、
とにかく全ての衣装や調度が美しい!!
美術館のヨーロッパ絵画がそのまま動き出した様な画面。

通りすがりの貴婦人たちの衣装もさることながら
やはり主人公グスタフを魅了してしまうタージョの衣装!
その姉妹達の衣装もなんと上品で可愛い〜〜

ちょっと難しい映画だけど、
美しい映像体験として観ても良いと思います。

で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては

芸術家が創作活動にも家族関係にも行き詰まって、
何かを変えようと思った時には
もう自分の命の終わりが近づいていた〜
と言う話だと私は思いました。

最初の方に出てくる砂時計の話が象徴的で
「昔、家にあった砂時計は砂の落ちる穴が小さくて
砂が減って行く様子がほとんど判らない。
気が着いた時はもうほとんど砂が残っていない。」

いろんなものに行き詰まっていたグスタフ。
そんな時に出会ってしまった美少年タージョ!!

単なる美少年では無く
ギリシャ彫刻のアポロンの様に
圧倒的に神々しく命に溢れた美少年〜〜

彼は奥さんも子供いたし、ゲイという訳ではなさそう〜
自分が見失ってしまった完全無欠な美と溢れる生命力の塊〜〜
中年男はそのパワーに魅了されてしまったんだな〜
その感じはなんと無く解る。
とても残酷で悲しい話よね〜〜。

それにしても、
そんな高尚な映画にも関わらずおばちゃん目線としては
いくらリゾート地とは言え、四人も子供のいる母親が
(末っ子はまだ6〜7歳に見えたけど)
伝染病の噂の流れてる街になんでいつまでも居るの??
トットと離れるでしょ!!
周りの人たちがどんどん離れていって、
賑やかだったビーチも最後は10人も人が居なくなってた。
家庭教師らしき女性もなんで、浮浪者が屯ってる街を
子供と女性だけでウロウロしてるんだろう!!

哀れな主人公のおっさん以上にそこが気になってしまった。
そういう所を突っ込む映画では無いのは重々承知だけど
気になっちゃたら仕方ないよね〜

@もう一度観るなら?
「何年か後にまた企画上映があったら映画館で〜〜」

星のナターシャ