劇場公開日 2011年10月1日

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「精神性の敗北に美しい形象を付与した稀代の傑作」ベニスに死す 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0精神性の敗北に美しい形象を付与した稀代の傑作

2021年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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徒然草枕
徒然草枕さんのコメント
2023年3月24日

いなかびとさん

コメントと共感、ありがとうございます。
いただいたついでにアシェンバッハの美学・芸術論がどこから来ているのか、補足したいと存じます。

原作には明確に記載されていませんし、トーマス・マンに関する評論をろくに読んでいないので偉そうなことは言えませんが、恐らくアシェンバッハの芸術観はヘーゲルの美学に由来するものだと思います。それと思しき文章を引用しておきますので、参考にしていただければ幸いです。

「まずもってきっぱりいえるのは、芸術の美が自然よりもすぐれている、ということです。というのも、芸術美は精神からうまれ、くりかえし精神からうまれる美であって、精神とその産物が自然とその現象よりすぐれているのに見合って、芸術美も自然の美よりすぐれているのです。
…精神こそが一切をそのうちにふくむ真の存在であって、すべての美は、すぐれた精神とかかわり、すぐれた精神のうみだしたものであることによって、はじめて本当に美しいといえる。その意味で、自然の美は精神に属する美の照り返しにすぎず、その実質が精神のうちに求められるような、不完全で不十分な美です」(ヘーゲル『美学講義』)

徒然草枕
いなかびとさんのコメント
2023年3月23日

 私の生涯ベストワンが、「ベニスに死す」です。原作を読みましたが、久しく読んでいません。近々、読み直すつもりです。

 原作も素晴らしい作品ですが、映像化もそれに劣らぬ名作です。幾多の古典名作の映画を見てきましたが、原作をも超える傑作は、この作品くらいです。

いなかびと