劇場公開日 2011年10月1日

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「監督の罪は消えないが、アッシェンバッハの恋とビョルン君の美貌もまた永久に不滅です。」ベニスに死す Jolandaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0監督の罪は消えないが、アッシェンバッハの恋とビョルン君の美貌もまた永久に不滅です。

2021年5月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

2月か3月?に、原作を読みました。
(長い上に抽象的だから好みは分かれそうだが、読んでから映画観た方がいいかも)

実は学生の頃に借りて、画像不良かな?冒頭でストップしてずっとそのままだったのを、約15年越しでようやく最後まで鑑賞。

マーラーのアダージェット(シンフォニー5番4楽章)が素晴らしい、、この映画の魅力は、ビョルン・アンドレセンの美貌とアダージェット、そしてダーク・ボガートの好演に尽きると思う。それから、対象をパッと映すのではなく、ゆっくりズームアップしていくクラシカルで貴族的(?)なカメラワーク。

映画でアッシェンバッハは作曲家というテイになっていたが、原作では作家。色んなバリエーションのケンタウロス風のクリーチャーが狂乱の宴といった感じで押し寄せてくる、かなり不気味な悪夢を終盤で(アッシェンバッハが)見るのだが、映画ではお上品に脚色してあった。(原作のヤツはCG使わなかったら相当チャチなものになるし、、ヴィスコンティの美意識に合わなそう)

夕方、空きっ腹にアルコールを流し込んで物語の続きを読み、めくるめく退廃と蠱惑の世界に浸るという愉しみを原作に与えてもらいました。

ただ、いかんせん山場に乏しいというか、、雰囲気を楽しむ作品だから、、正直アダージェットがなかったらこの映画もだいぶ地味だったろうなと。
(映画『さくらん』が、なまじストーリーが平板なだけに、ほぼ椎名林檎のPVと化してしまった事と似ている)

当時まだティーネイジャーだったビョルン君が、修業と称するヴィスコンティの手でパリのゲイコミュニティに放り込まれ、玩具として消費されていたことが最近のドキュメンタリーで明かされたそうな。
世界的な監督&名門貴族だからと誰も逆らえなかったらしい、と。
当時はたぶん今以上に、同性からの性被害は真面目に取り扱ってもらえなかったろうな、、美少年の宿命かミソギぐらいに捉えて黙殺したんだろうな、、
うちの親とほぼ同年だけど、だいぶ年上に見えてしまう現在のビョルンさん。過酷な半生は深い皺として刻まれてるけど、告発は勇気ある行動だし、この映画はビョルン・アンドレセンの美貌なしには有り得なかった。そう思います。

yolanda