「おっとドラゴンさんどこ行くの~って感じで終ちゃって唖然呆然!」ホビット 竜に奪われた王国 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
おっとドラゴンさんどこ行くの~って感じで終ちゃって唖然呆然!
当初2部作と予定されていた『ホビット』が3部作になったことで、中途半端な結末に試写会場ではどよめきが生まれました。『竜に奪われた王国』なのに、おっとドラゴンさんどこ行くの~って感じで終わったら、また夏まで待てましぇんとなるでしょう(^^ゞ
前作よりも、アクション多めで見どころたっぷりなんですが、時間のたつのが早く感じられた『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズに比べて、本作の2時間41分は長く感じてしまいました。
今回の旅の目的が、ドワーフの王国のシンボルを財宝収拾マニアのドラゴン・スマウグから取り戻すことにはなっています。でも、それを成し遂げる先にあるものが見えづらいのです。『ロード・オブ・ザ・リング』では、光に導かれた闇との戦いで、聖なる使命感に気分が高揚していったのですが、ホビットシリーズは大元の闇との戦いはまだ予見されている段階なので、 カンダルフやドワーフたちが、そもそも何のために結集し、旅を続けているのか見えてきづらいのです。
もう一つ問題なのは、登場人物が凄く多くて、この人は誰か覚えるのが大変なのです。旅の仲間ですら13名いるのに加えて、エルフ族の新キャラが登場して旅の仲間に絡んでくるのです。登場人物が多い分、各エピソードを動かす主要メンバーも入れ代り立ち代りで、誰がどんな行動をとったのか、一回見ただけでは覚えきれません。
さらに、カンダルフは別行動になってしまうのも、場面転換を増やして物語を複雑にしてしまいました。
但し、エルフの登場シーンは、彼らならではの軽快なアクションが見物です。昔懐かしいレゴラスが颯爽と弓矢を放ち、ドワーフたちに襲いかかる巨大蜘蛛や執拗に迫ってくるオークの軍団をバッタバッタと倒していくシーンは、拍手喝采ものです。
但し、エルフの王スランドゥイルは一癖ある人物で、オーケンシールドを王としたドワーフの王国の再建を快く思っていません。巨大蜘蛛から助かけたか思いきや、ドワーフの一行を捕まえて城の牢屋に押し込んでしまうのです。エルフの城は、前シリーズと変わらぬ景観で、とても懐かしく感じました。
ところで、今回の旅でのレゴラスの役割は複雑な感じです。王の命令に従いつつも、結果的に旅の一行も助けてしまうことになりそうなのです。レゴラスをそうさせてしまうのが、幼なじみで闇の森の守備隊長を務めるタウリエルの存在。ふたりは一見すると恋仲のように見えて、身分の違いから、あからさまにできなかった事情がありました。牢獄ですっかりドワーフのメンバーと恋に落ちてしまうのです。
ビルボが指輪を使って透明人間となり、仲間を逃がしたのをレゴラスと共に追うことになるのですが、それが果たして王命によって捕まえに行くのか、愛しいドワーフとひと目会いたさに、救いに行くのか、タウリエル本人も分からなくなっていくのです。向こう見ずで、冷酷で、殺すことも躊躇しないタウリエルのらしくない恋の帰結も、第3話に持ち越され、見どころの一つとなりそうです
さて前途したエルフ城でのビルボの活躍も見物です。ビルボがメンバーを個々に酒樽に入れて渓流に落とした結果、急流を下りながら、ドワーフを抹殺しようとするオークの軍団と、オークと戦いつつ逃げたドワーフを捕まえようとするレゴラスたちの三つ巴の戦いとなったのです。大変スピーディーでスリリングで見応えがありました。
もう一つのビルボの活躍として、スマウグとの対決シーンがあります。
旅の目的であるアーケン石をスマウグの財宝の山の中から発見したが、ビルボでした。彼が近づくにつれてその白い輝きは増し、ぼうと青白い光を放ってただ者ではないドワーフ王国の宝物であることが分かります。ただビルボがその石を掴んだとき、石の魔力にひかれて精神がおかしくなるのです。オーケンシールドもアーケン石を語る時は、正常ではなくなってしまいます。怖くなったビルボは、石を自分のポケットの奥深くへとしまい、オーケンシールドに秘密にしてしまいました。その結果がどうなるのか時間に持ち越しになりましたが、オーケンシールドが石を手に入れたとき暴君に豹変しかねない展開です。 おっとその前に、アビルボがアーケン石を発見したとき、スマウグに見つかってしまい絶体絶命になってしまいます。ところがこのドラゴンくん、実に人間臭いキャラで、ビルボを襲うぞ、死ぬぞと散々脅しつつ、自慢話を長々と語るばかり。ビルボが得意のおだて戦法でヨイショして、危機を切りぬけるところが、ユーモラスで面白かったです。
このあとビルボはドワーフたちと合流。智慧を結集したスマウグとのバトルシーンも迫力満天で良かったです。このシーンは、廃城内の精錬所跡を舞台に、ダイナミックな動きの激しいシーンなので、3Dによる奥行き感が効果的に出ていました。
メンバーの努力も空しく、スマウグは、怒りの矛先をメンバーが世話になった湖の町に向け飛び立ってしまいます。そこにはスマウグに対するスペシャル兵器も存在するようなのですが、ある事情で仕えるかどうか微妙です。スマウグを倒すのは、いつなんだぁ~(次回でしょう(^^ゞ)と叫びたくなる終わりでした。
一方ある目的から単独行動をとっていたカンダルフは、なんとあの冥王サウロンと遭遇。魔法合戦に敗れてしまい、囚われの身に。何から何まで、フラストレーションのたまる一方の結末でした。こんな中途半端な終わり方では、ネタバレもあったものではありません。7月公開の第3章が待ちどおしいです。