劇場公開日 2014年2月28日

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ホビット 竜に奪われた王国 : 映画評論・批評

2014年2月25日更新

2014年2月28日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー

映画館で映画を見ることの醍醐味を感じさせるアトラクション・ムービー

映画が始まるとすぐ、ブリー村にあの見覚えのある顔が見える。われらがピーター・ジャクソンだ。フードをかぶり、ニンジンをかじっている彼は「ロード・オブ・ザ・リング」(以下「LOTR」)1作目のときと同じキャラクターでのカメオ出演。それがわかる「LOTR」ファンはもうニンマリ。

2部作の予定が3部作になったことで、最も心配されたこのパート。だが結果、第1作より9分ほど短い(とはいえ十分に長尺な)この第2作はシンプルで多彩でアクション満載、第1作より1時間くらいは短く感じられる傑作になった。サービス精神旺盛なジャクソンには勝算があったのだろう。これは「ホビットの冒険」の映画化というより、映画「LOTR」3部作の前編。史上最高のファンタジー映画の世界を押し広げる挑戦なのだ。

原作には登場しないエルフの女戦士タウリエルは、旅の仲間たちを危機から救ってくれるアメコミヒーローのような存在。彼女に恋するドワーフのキーリが姫キャラと化すのが面白い。あの“いとしいしと”ゴラムの不在は残念だが、彼に勝るとも劣らぬスター、竜のスマウグがハートをわしづかみにしてくれる。ベネディクト・カンバーバッチが生命を吹き込んだ竜はとことん人間臭く、キャラクターの心を映し出す鏡でもあるのだ。そして迎える、最高にクリフハンガーな終幕!

もし冒頭のジャクソンに気がつかなくとも、この映画を楽しめないなんてことはない。ストーリーは無駄がなくシンプルで明快。新キャラは誰もが魅力的だし、息つく暇もないアトラクション・ムービーだからだ。HFR(ハイ・フレーム・レート=1秒間48コマ)の映像はクリアすぎて幻想感がそがれる気もするが、ニュージーランドの大自然が土台となった中つ国をリアルに体感するにはもってこい。レゴラスやタウリエルの流麗さや樽に入ったドワーフたちの激流下り、怪獣映画を彷彿とさせるシーンなど、入念に構成・演出されたアクションもかつてない大迫力! その楽しさが、まるで労働後のビールのように体に染み渡るのだ。映画館で映画を見ることの醍醐味を、これほど感じさせてくれる作品があるだろうか? あったとしたら「LOTR」だけ。映画館で必見だ!

若林ゆり

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