「茶畑の金さん」種まく旅人 みのりの茶 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
茶畑の金さん
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ストーリーは悩める乙女のよくある自分探し、成長物語ですので女性好みの映画かも知れませんね。農水省のキャリアでありながら生産者に寄り添う奇妙な官僚を陣内孝則さんが軽妙に演じている。「金さん」の通称で爺婆からも慕われるが本職を隠すのでさながら茶畑の「遠山金四郎」的な可笑しさもある。田中麗奈さんは過酷な畑仕事をさせるにはあまりにも華奢で痛々しいがそのギャップが映画のテンションにもなっているのは見事なキャスティング、演出ですね。
映画の舞台となった有機栽培茶の農園は大分県臼杵市に実在する(高橋農園)。臼杵市は塩屋俊・監督の出生地でもあるから、本作は監督の故郷賛歌でもあるのだろう。
食の安全、安心ということで高橋農園の無農薬の有機栽培茶は映画の翌年に農水省の「全国環境保全型農業推進コンクール」にて生産局長賞(大賞の大臣賞に次ぐ優秀賞)を受賞している。
昔は有機栽培が当たり前でトマトは青臭かったし、きゅうりは苦かった、下肥などは不衛生極まるのに今日では有機栽培が安心というから皮肉なものだ。品種改良と化学肥料、農薬で収穫量は稼げたが味に個性が無くなった気もする、花魁と言う身の白いおいしいサツマイモも消えて久しい。昔ながらの野菜づくりは細々ながらプレミア化して生き残っていくのだろうか・・。
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