LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語のレビュー・感想・評価
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普遍性は多様性への扉
※まず、これから劇場で御覧になる方へ注意点を。この映画には、「おまけ映像」が付いています。日本からの投稿映像による、もうひとつの「ライフ・イン・ア・デイ」、監督は「イエローキッド」「NINIFUNI」の真利子哲也。ピクサーアニメ風に最初に流してもよかったのでは?という味わいです。くれぐれも、途中退出せずに最後までお楽しみください。お見逃しなく!(このバージョン、日本だけの試みなのか、各国バージョンがあるのかは不明です。もし各国のものがあるなら是非観てみたいです。)
332組342人から投稿された世界中での「2010年7月24日の日常」の映像を、朝から夜へというひとつの流れに束ねあげた作品。言うまでもなく、膨大な私的映像(レトロな表現で言えば、ホームビデオ)を映画の域へ引き上げたケビン・マクドナルド監督の手腕に圧倒させられる。
まず、おおっ!と思ったのは、多くの日常は多様である以上に普遍的、ということだ。いや、日常への視点が普遍的なのかもしれない。何十人もの目覚め、起床、洗面と歯みがき、朝食…という動きが、秒単位の細かいカット割りで写し出されるが、まったくザラつきがなく、まるで一人の動きであるかのように錯覚してしまうほどだ。そのような定番の出来事(日課)を軸にして、オリジナリティーの高い(と思われる)ある人のある日常のエピソードが、ランダムに挿入される。たとえば、亡くなった妻(母)へ朝の挨拶をする親子、世界中を自転車で旅する北朝鮮出身の青年、毎日欠かさず神に供え物をし、祈りを捧げる女性…。しかしながら、彼らを一日の流れの中で何度となく見ているうちに、いつしか、自分が見知っている誰か(もしくは自分自身)と重なり始める。世界はひとつ、などと簡単に言い切るのは抵抗があるが、多様性は断絶への壁ではなく、普遍性は多様性への共感への扉であると感じさせてくれる。
…とは言え、断片的な映像の連なりを90分余り観続けるのはなかなか体力がいる。日常を過ごす生活空間の中で流し続け、何かの折にふと目をとめて見入る、という味わい方も試してみたい。もしくは「24」風に、一日一時間単位ずつ、というのもアリか。
世界の一日の断片をつなぎ合わせた人生讃歌。
YouTubeの企画で世界中の一般の人々から募集したある一日の映像を、一日の始まりから終わりまでという流れで構成した異色のドキュメンタリー。その後、日本版とかクリスマス版とかいろいろ関連作が作られたが、名もなき人たちの日常の断片から、生命の営みや人間や人生へのかけがえのなさを浮かび上がらせるという点で、他の追随を許さない大傑作になった。もはやかなり前の作品だが、スマホや家庭用ビデオカメラで撮れる画質が向上していたことも、映画として成立させられた大きな要因だったし、逆にカメラの性能が上がりすぎた昨今では、素人映像としての生々しさを感じさせるのは難しいのではないか。あと膨大な素材をいかにまとめあげるかという編集の能力と人生観が重要な作品で、これに関わったスタッフならびにケヴィン・マクドナルド監督のセンスがとにかく素晴らしかったのだと思っている。
今日は2020年の7月24日です
偶然見つけた映画を見て背筋が凍るような思いをしました、
たった今が10年後の世界なのだから
What day is? "今日は何日?“
この作品はこんな問いかけから始まります。
そして最後はこう問いかけてきます。
What do you fear? “何が怖い?“
大袈裟に言えば運命的なものを感じました
たまたま見つけて興味を持ち見始めたら10年前の世界
それもリアルな世界中の人々の生活
そして何より驚いたのは
LIFE IN A DAY のYouTubeチャンネルからの
「一緒に映画を作りましょう 7月25日あなたの1日を撮影して物語を教えて下さい」との呼びかけに気付いたからです。
この作品を見ている最中ずっと新型コロナの蔓延する今の世界を撮ってほしいとの思いがいきなり実現するからです
見る人それぞれが一人一人の思いで撮って見て感じる作品になるのでしょうね、この10年前の作品のように
What do you fear? “何が怖い?“
極限状態の自分、悪を悪とも思わなくなってしまったら残酷な事もしてしまうのではないかと恐くて仕方がないです
そんな事がこの先ありそうで……
だから、なんでもない日が愛おしく思えるのです
なんでもない日おめでとう
決して何もない一日ではなかった
2010年7月24日はどんな一日だったか?と聞かれれば、きめ細かく正確に言えるという人は少ないと思います。もちろん全くいないわけでは無いでしょうけど・・・。ちなみに私は思い返そうにも全然覚えていません。虚しいことに・・・
この映画はそんな2010年7月24日に世界中の人達にその日の日常を撮影しyotube に投稿してもらいそれを編集したドキュメンタリー映画です。
YOUTUBEの映画コンテンツで無料配信していたので何気に見てみたのですが、これほどいいドキュメンタリー映画だったとは…と思える素晴らしいものだったと思います。
映像の内容は様々。面白いものもあればメッセージ性の有るもの、恐ろしくも痛々しいもの、なんじゃこりゃと思うような驚くもの、どうでもいいもの、感動的なものなど様々な人達が様々な文明の中でいろんなものを撮っています。言えばきりがないのですがただ日常を映し出しているにも関わらず妙に印象の残る映像ばかり。映像は素人が撮っているにも関わらず美しく映っており、生命力すら感じる映像は感服です。
見終わったあとなんだか清々しい気分になった気がします。特別なストーリーがあるわけでもないのに、画ってやっぱ重要ですね。
その中でも個人的に気になった映像は最後の映像。何かいいものを撮ってやろうと一日中撮ったにも関わらず、なにも起きずに一日が過ぎてしまったという女性の映像。なにも起きなかったことに悲しげというか無力感すら感じるこの映像。
彼女は特別貧しい訳でもなく何か病に侵されている訳でもないのになぜこんなにも悲しんでいるのか。この映画の数々の映像を見ていると落ち込むのはあんたではないはずなのにと疑問に思って仕方がなかった。
しかしあえてこの映像を最後に持ってきたのはこう人にこそ、この映画を見てほしいというスタッフの目論みがあったのかもしれません。あなたにとっては確かに何もなかったといえる一日だったろう。しかし、世界に目を向けてみれば何事もなかった一日はとても幸運なことなのだということ。面白い一日でなくても苦痛を耐えながら生きてゆくよりかは最高にいい日なのだということを、この映画を見て知ってほしいということを言いたかったのかもしれない。
一日にこれほどのことが起こっていると考えると、ほんとにこの世界は広く、壮大なのだと痛感。見てよかったと思えるドキュメンタリー映画です。
僕らはみんな生きている [修正]
[修正:どうしても本作を未見の方に紹介したくてネタバレ指定を外した。
後半ちょっとだけネタバレ注意です、スミマセン……]
192ヵ国から寄せられた、総計4000時間にも及ぶ<2010年7月24日>の映像を編集し、
世界のとある1日を追うという野心的ドキュメンタリー。
あぁもう、この映画の感動を何と言い表せば良いのだろう?
ひたすらに素晴らしいとしか言えない。
上映中に何度笑い、泣き、喜び、顔をしかめ、反発し、共感したことか!
この映画を観れば分かる。
好きなもの、嫌いなもの、怖いもの、大切に想うもの。
環境や思想の違いこそあれ、それらは世界のどこでも大差は無い。
僕らは確かに、同じ地球で、同じ時間を生きてる。
存在している。
だから、自分の心を想うように、相手の心を尊重して生きよう。
映画館を出て暫く、世界の全てが近く、いとおしく思えた。
言い過ぎかも知れないが……
この映画、誰かの人生をひっくり返し兼ねないほどの威力を持った映画だと思う。
以下に、僕が鑑賞中付けているメモから印象的だったシーンを書き出してみる。
ネタバレというほどのネタバレではないかもだが、
まっさらな状態で映画を観たい方は、申し訳ないが
◆と◆の間を読み飛ばしてほしい。
もう観た方は、
少しでも本作のことを思い出してもらえたら幸いだ。
では……
◆
エレベータからの夜景
真夜中・人生への諦念
遺影への“おはよう”
人生初のひげ剃り
ママが入院した朝
手術した男の感謝
帝王切開を見て卒倒
朝鮮出身の自転車男
お節介で超貧乏のケネス
靴磨きの少年
墓暮らしの人々
怯える牛の瞳
親父とのドライブ
マミラピンアパタイ
プロポーズのアドバイス
女が男にひざまずく文化
祖母へのカミングアウト
エルビス・プレスリー
50年目の結婚式
万引きパルクール
塔に登るヴィルジニア
割れないシャボン玉
アフガニスタンの“陽”
PC越しのデート
孤独を恐れて孤独でいる女
もう何も怖くないと妻に微笑む男
月を横切る飛行機の影
夜空に浮かべた灯り
何もなかった1日への後悔に関する、美しい独白。
「どんな平凡な人生にも良いことがあるって、世界に見せたかった」
◆
世界を美しく思えるのはたいてい、1日の内でほんの一瞬。
けれどその美しさを世界中から掻き集めたら、
世界はきっと24時間、ずうっと美しい。
素晴らしき哉、人生!
<2011/8/28鑑賞>
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