「あくまで白人が作った予定調和的な「米南部映画」」ヘルプ 心がつなぐストーリー 梅薫庵さんの映画レビュー(感想・評価)
あくまで白人が作った予定調和的な「米南部映画」
ディズニー系のタッチストーンが制作、1960年代米南部の黒人差別を糾弾するような意図をこの映画に求めるのは無理な話、原作者が舞台であるミシシッピー州ジャクソンの出身の女性、監督も女性、そして主な登場人物・俳優も殆ど女性で、男性が出る出番無し、とくれば、寧ろ「女性映画」の色合いの方が濃い。
主演のエマ・ストーンも、敵役のプライス・ダラス・ハワードも、「ヘルプ」役のヴィオラ・デイビス、アカデミー賞を獲ったオクタヴィア・スペンサーも、お金持ち夫人と成り上がったジェシカ・チャステイン(出色!)も、それぞれも個性に合った役を演じている。
だから「女性映画」としてはそれなりの出来。でもそれだけじゃ、やっぱりもの足りない。黒人差別が根底にあるのなら、それをキッチリと描かなければ、物語にも厚みが出ない。
「ヘルプ」と同じ年、同じミシシッピー州を舞台にした「ミシシッピー・バーニング」(アラン・パーカー監督、1988年)を観て欲しい。1964年、公民権運動が最高潮に達し「フリーダム・サマー」と呼ばれたその年に、実際にミシシッピーで何が起きたか、理解してから「ヘルプ」を観るのもいい。
ミシシッピー・バーニング - Wikipedia http://bit.ly/HwSiBA
この映画は、あくまでも白人が作った予定調和的な「米南部映画」である。
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