「無償の愛が教えてくれるもの」フランケンウィニー Garuさんの映画レビュー(感想・評価)
無償の愛が教えてくれるもの
僕のワンダフル・ライフを観て思い出したのが、ティム・バートン監督のアニメ作品フランケンウィニー(2012年)。
飼い主の少年が、交通事故で死んだ飼い犬スパーキーを科学の力で蘇らせるのだが、こちらは人間目線の物語で、犬はワンワン鳴くだけでしゃべらない。 少年と犬との死別の運命に対する捉え方も、ワンダフルとは少しニュアンスが違っていた。
最後の場面では、本当に死んでしまったスパーキーを再び蘇らせようとする少年を、両親が優しくたしなめる。
「スパーキーは神様の所へ行ったんだよ。もう静かに眠らせてあげなさい」
そして少年は、涙ながらにスパーキーとの別れを受け入れるのである。
うぅぅぅ、、、、、これも泣かせる。
フランケンウィニーの死に関するメッセージは、極めて現実的だ。 死は死として真正面から受け止める。 「死との対峙の仕方」としては、大変に辛く厳しいものだが、運命に対して謙虚な姿勢には、動物である人間が本来持っている「良心」を感じる。
この作品を観た当時、13年間飼った犬を亡くしたばかりだった私は、この場面で当然大泣きしたが、救われもした。
作品の中で両親が少年を諭したように、「もう静かに眠らせてあげよう―」と、おそらくこれは自分の心に言い聞かせたのだが、この言葉を飲み込むことによって、とりあえずは耐え難い現実をやり過ごすことができたのである。
ワンダフル・ライフのように、輪廻転生で再び死んだ犬が戻ってきてくれれば最高だが、そうならなくても構わない。 私も、いつかは死ぬ。 まずは犬の死を認め、死の運命を受け入れよう。犬が与えてくれた無償の愛に、心から感謝しよう。 天国に行った時に、愛犬と再会できることを願って。
干し大根のようなスパーキーが、この作品を通してそれを教えてくれた。 感謝したい。