ONE SHOT ONE KILL 兵士になるということのレビュー・感想・評価
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洗脳
ひとりの人間を何も感じない殺人マシーンへと変えていく「訓練」という名の「洗脳」は、決して海兵隊だけの話ではなく、現代社会のありとあらゆるところに潜んでいる、と思いながら鑑賞しました。「洗脳」で本当に感情を麻痺させることが誰にでも可能なのか。 しかし、洗脳技術が発達しても帰還兵の自殺や他殺、精神病がいっこうに減らない理由は、殺しという「洗脳」は番人には当てはまらないということ、戦場が「洗脳」を遥かに超える程の凄惨な場所であるということだと思います。 戦争という利益のために殺人マシーンを作りあげる社会や支配層の「甘さ」と「愚かさ」が実に良く分かる作品です。
殺人マシーンの作り方
1日の中で自由になれる時間は、就寝前の60分だけ。
やがて上官がやって来て1日の最後の点呼を取る。
上官に従い1日の締め括りとして全員が叫ぶ。
《ONE SHOT ONE KILL》“一撃一殺”又は“確実に殺せ”…と。
如何にして若者達は、躊躇いも無く人間を殺せる様に変化していくのか。
そんな海兵隊訓練キャンプを、12週間のプログラムを経て卒業する若者達に密着したドキュメンタリー作品。
上官に対して言える言葉の大半は「イエッ・サー」。
最初の試練は、家族への決められた言葉しか言えない、電話から始まる。
マーシャル・アーツを学ぶ姿や、銃剣をダミーに突き付けては叫ぶ姿には、やがて戦闘マシーンとして備わるであろう面影は微塵も感じられ無い。
毎週500名近い人数が新たな戦闘マシーンとなるべくやって来る訓練キャンプ地。殆どの上官の喉は、叫び過ぎの為に潰れている。
しかし新たにやって来る若者達に対して容赦している暇は無い。彼等を一人前にしてあげないと、戦場で足手まといになるだけでは無く。何よりも本人の為にもならないのだから。
ぎこちなく「マリン・コー」と叫んでいた若者達は、やがて実弾を扱える様になり。やがてプログラムを終了して、各地に新たな戦闘マシーンとして配備される事になる。
最早、最初の時に見せていたひ弱な姿では無くなっている事に、観客は気付かされる。
(2010年4月14日 UP LINK X )
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