「ロボットと老人のシンクロ」ロボジー CRAFT BOXさんの映画レビュー(感想・評価)
ロボットと老人のシンクロ
ある地方の中小企業の電子機器メーカーが、企業アッピールのためにロボットイベントに出品することになった。わずか3か月で二足歩行ロボットを作るように会社に命じられた開発チームには、3人の社員(濱田岳、チャンカワイ=川合正悟、川島潤哉)が選ばれた。もちろん、たった3か月で出来るはずもない。ロボットが出来なければ会社を解雇だと言われ、苦肉の策として開発チームの3人が考えついたのが、ロボットの中に人を入れて動かし、その場しのぎが出来れば良いということ。なんとか孤独な老人(ミッキー・カーチス=五十嵐信次郎)を誤魔化して、ロボットの中に入れることに成功。ロボットは「ニュー潮風」と命名されて、ロボットイベントはやり過ごす事が出来た。ところが、ひょんな事から「ニュー潮風」がテレビで取り上げられて紹介されたことから、大人気になって「ニュー潮風」のムーブメントが起こる。「ニュー潮風」の大ファンという女の子(吉高由里子)も絡んできて、開発チームの3人は、今さら嘘だったと言い出せなくなり、後戻りができなくなる……。
『ウォーターボーイズ』や『ハッピーフライト』の矢口史靖が監督。
一つの嘘が次の嘘を呼んで、どんどんあらぬ方向に進んで行くというコメディの王道で展開して行く。安心して楽しめる作品ではある。
本作が成功なのは、ロボットの中に老人を入れると発想したことだ。たしかに老人のたどたどしい動きは、どこかロボット的だと言える。その2つをシンクロさせて着眼した矢口監督の勝利と言える。
その上、本作を覆面ヒーローものとして、その正体を明かされることのカタルシスを上手く作品の中に落とし込んでいる。
さらに矢口監督らしさといえば、その一つに、若い俳優たちのキラキラな魅力をストレートに画面に映す手腕があるが、本作では吉高由里子がなかなか良い。
最後に、もうひとつ。エンディングは80年代にヒットした『ミスターロボット』。本作を見ている途中で、この曲を聴きたいなぁと思っていたら、ちゃんとかけてくれるというサービス精神。
どうもありがとうミスターロボット また会う日まで
どうもありがとうミスターロボット 秘密を知りたい
まさに本作を表した歌詞である。