劇場公開日 2012年1月14日

「発想はGoodでも、センスは・・・」ロボジー 梅薫庵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0発想はGoodでも、センスは・・・

2012年2月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

面白い映画なんだけど、何かが足りない。そう思ってしまう映画だった。

デビュー以来、ずっとオリジナル脚本で作品を作って来ているだけあって、今回も粗筋は面白いし、一つ一つの逸話は笑わせたり、泣かせたりするのだけれど、作品全体としては、カタルシスに欠けたものだった。

それぞれの皿に盛られた料理は美味しいのだけれど、それらをひとつの皿に盛りつけたとき、言い換えれば映画的な盛り付けかた、構成の仕方があまりよくないように感じた。話を主人公の重光じーちゃんひとりを中心におけばよかったものを、そのじーちゃんの家族とか、木村電器の三馬鹿大将たちのエピソード(特にロボットヲタの女子大生とのやりとり)をちょっと欲張って盛り込みすぎた。どこかバランスが悪いように思える。

主人公の鈴木重光73歳を演じた、五十嵐信次郎ことミッキー・カーチスさんは、まさにこの人しかいない、という適役を飄々とこなしている。ミッキーさんがいなかったら、この映画は映画として成り立っていたかどうかわからない。それほどに、この映画はミッキーさんが、登場人物としても役者としても、重要な役割を果たしている。

そしてエンドロールで流れる「ミスターロボット」は、懐かしい曲。もちろんスティックスの1983年全米第3位まで入った曲。ここでは「五十嵐信次郎とシルバー人材センター」。ボーカルはもちろんミッキーさんで、バックは映画の音楽を担当した、こちらもミッキー吉野さんと浅野孝已さん中心の「ほぼゴダイゴ」バンドです。

あと個人的には、「落語物語」から一年ぶりに、田畑智子タン(矢口作品で必ず登場するキャラ「伊丹弥生」役)がスクリーンで観られたのが嬉しかったな(^^ゞ。

梅薫庵