劇場公開日 2011年8月13日

「子供への愛を取るか、伴侶への愛を取るか」我らが愛にゆれる時 septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0子供への愛を取るか、伴侶への愛を取るか

2011年9月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

幸せ

“三大映画祭週間2011”上映作品

もし、一人愛娘が
不治の病に侵されたとき、
唯一の道が社会倫理に反する
かもしれなくても、親として、
助けようとするかどうか。

みなさんなら、どうしますか?

そんな問いかけが
今作のテーマになっています。

・バツイチの奥さん
・現在の旦那さん
・前夫との間に産まれた一人愛娘

・バツイチの前の旦那さん
・現在の奥さん(スッチーで若く綺麗)

愛娘が白血病に。
助かるには移植しか道は残されていない。

しかし両親とは型があわない。

そんなとき、医者が母親に告げる。

「妹か、弟が、産まれれば、型が一致する確率が高い」

母親は意を決し、
現在の夫と、前の夫に、
衝撃の決断を伝えるのであった・・・。

◇   ◇

注目すべきは、
大人の苦悩を描いているだけでなく、
パッと見、なにも知らないようにうつる、
娘が、自分の身に起きている出来事に感づき、
周囲の大人たちを気遣う様子を、細かい心の
揺らめきまで映しきっていること。

“愛”は
親から子への一方通行でなく、
子から親へもそそがれている。

そして、たとえ、
血の繋がりはなくとも、
“愛”の形に違いはない。

それは、社会通念上、
許容するのが難しい一線を
超えてしまったとしても同じ。

“愛する”がこそ、
相手を赦し、理解しようとする。

“愛する”がこそ、そろって
“愛”を守り、育もうとするのです。

☆彡     ☆彡

“派手”と“地味”
“原色”と
“上流”と“下流”

住む世界の対比、
女性の流産体質といった、
デリケートな内容も組み入れながら、
男性監督・脚本とは思えない、繊細な
タッチで、話は構築されていっています。

『北京の自転車』繋がり、客演で
大好きな、カオ・ユアンユアンもサプライズ出演❤

『海洋天堂』と同じく、
喜びのあまり、スクリーンを
見つめながら、一瞬、フリーズしてしまいました(苦笑)

“子”を取るか
“夫”を取るか

そして、もう一つの選択肢

“両方”を取るのか

“愛”とは
“社会モラル”とは、
本来、天秤に量れないものを、
比べた作品でございました。

重めの作品ですが、
良作だと太鼓判を押させて頂きます❤

septaka