劇場公開日 2012年8月25日

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「佐藤健の剣心が爽やか。娯楽映画としても完成度が高い。」るろうに剣心 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0佐藤健の剣心が爽やか。娯楽映画としても完成度が高い。

2012年9月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

香川照之演じる武田観柳と手下の白スーツの男たちの演技がマンガチックで少々オーバーだが、廃刀令が出されたばかりの明治時代を舞台にした時代劇という発想が面白い。
時代が変わっても生き方を変えられない血に飢えた浪人と、西洋文化の波に乗る悪徳実業家という相反する二人を悪役に持ってこられたのも、この時代背景があったればこそだ。
豪快なチャンバラと炸裂するガトリング砲の取り合わせや、超人的な技と摩訶不思議な妖術といったものに違和感を持たない時代でもある。

実写化にあたっては今までにない殺陣を実現するだけでなく、セットやVFXによって和と洋が交錯した世界を作り上げなければならない。そして何よりも、
その世界に点在する人物をしつらえる作業は大変なことだ。

主だった登場人物に、あまり色に染まっていない役者とここぞとばかりハマった役者を配したキャスティングが功を奏し、よく見る顔ぶれだが組み合わせにフレッシュ感がある。
主役・緋村剣心の佐藤健がいい。おっとりとして爽やかな剣心と人斬りマシンと化す抜刀斎を目と声音で上手く演じ分けている。時代劇の次代を担う役者が出てくるのか心配していたが、これで安心だ。
適役・鵜堂刃衛の吉川晃司も凄みがあっていい。

喧嘩屋・左之助と武闘家・番神の一騎打ちは笑いを挟んで、同時進行する剣心と外印による死闘の緊張を和らげる。
江口洋介が演じた斎藤一は実在の人物で左利きという説が有力だが、本作では刀を左手で構えるカットがひとつあっただけで、あとは右利きの握りだった。だが悪くない。男は“もう若くはない”という年代に入ると味が出るのだ。中途半端な年代をくぐり抜け、クサさがとれて自然体に近づいた江口洋介はこれからが旬だと思う。

剣心の頬のキズの由来が語られるが、恐らく1本は自分でつけたのであろう。この作品(話)の良さは、剣心の人となりにある。
原作は知らないが、アクション、恋、笑いのツボを押さえた娯楽映画としての完成度は高い。蒼井優の高荷恵にゾクッとする色気があったら完璧だった。

マスター@だんだん