劇場公開日 2012年9月28日

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「ダサい字幕訳も気にならないほど壮絶な駄作」ボーン・レガシー よねさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0ダサい字幕訳も気にならないほど壮絶な駄作

2019年1月15日
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鑑賞方法:映画館

 雑に紹介すると、ホーク・アイがキャプテン・アメリカになってハムナプトラのヒロインと一緒にターミネーターに追われるお話。前3作がそれぞれエポックメイキングな傑作としてアクション映画のトレンドをぐいぐい牽引してきたボーンシリーズにおいて本作は完全な面汚し。だいたいこのシリーズの肝は”あいつを怒らせたらダメでしょ?”というところ、すなわちケタ違いの戦闘スキルを持った男がかつて自分が所属した組織に単身戦いを挑むカタルシス。でも今回戦う相手は製薬会社の警備員とかアメリカ政府の格下工作員ぐらい・・・ドラクエのスライムレベルの雑魚キャラ倒してドヤ顔されてもなぁ。

 今回主人公を抹殺しようとする組織は完全にアホ集団。まずアラスカの山中の小屋にいる主人公を遠隔地からミサイルで狙うわけですが、昼間にやるからまんまと逃げられる。寝てる間に狙ったら一発やっちゅうねん。だいたい国家機密保持が目的なら確実に抹殺せんなんわけでミサイルボン!よかったね!で済むわけないやん。ちゃんと精鋭部隊を送り込まんとアカンでしょ、何仕事端折ってんねん?

 当然の結果として秘密を握る科学者レイチェル・ワイズともどもまんまとマニラまで逃げられた組織はバンコクにいた工作員を1名現地に派遣・・・たった1人?いくら主人公と同じようなスキルを持つ男やとしても、サイドキック的なスタッフはおらんとダメでしょ?それまで散々人工衛星使ったりして支援してたのに、こいつがマニラ入りした途端にサポート終了、それってやる気あんのかいな!?で、こいつが無表情で猛然と追いかけ始めてから『ターミネーター』みたいなことになっていくわけですが、もうこの辺は全然笑えないギャグになってしまっている。ちゃんとしたスタントマン起用して撮影している大層なスタントシーンですが全3作と違って作り物臭さ、すなわち段取りがきっちり見えてる感じになっていて失笑しかない。

 前3作の脚本書いている人が監督ですが、映像センスに乏しいんでしょうね。一カ所だけムチャクチャスタイリッシュなシークェンスがありますが正味10秒もない・・・全長135分ぐらいなのにそれだけかよ!?一応シリーズなので前作『~アルティメイタム』と同時進行しているような設定になってますが、取ってつけたようなシーンが挿入されるだけで全部蛇足。そういうのがやりたければ『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』を最低50回は観ないと。

 とにかくダメなのは肝心の美味しそうなシーンが全部予告で使ってしまっていること。予告を観た人なら容易に要所要所のオチが読めてしまう。さすがにそろそろ予想外の展開があるでしょ?と思ったら、スーッとカメラが引き始めてジ・エンド。ポップコーンをスクリーンに投げつけなかっただけ自分もオトナになったなあと感心するくらいヒドいクズ映画。あまりにもヒドすぎるので戸田奈津子さんによるダサい字幕訳も気になりませんでした。

よね