「映像は凄いが・・・」バトルシップ tochiroさんの映画レビュー(感想・評価)
映像は凄いが・・・
予告編のド派手な戦闘・破壊シーンにかなり期待していたが、こと映像に関する限りそれは裏切られなかった。登場人物もそれなりに魅力はあった。
「ロサンゼルス決戦」でも描かれた「民間人を守り、規律正しく命令に忠実で、不撓不屈で勝利のために戦い抜く」という「幻想の軍人魂」の好きな自分にとって決して嫌いな部類の作品ではない。
しかし肝心のストーリーが全くダメで、映画としての面白さはあまりない。観終わった後の余韻もない。
大体あの異星人達は何のために地球にやって来たのか。元々地球からの呼びかけに応じたように匂わせているが、ならば恒星間航行の技術を持っているのに、軌道上から観察することもなくいきなり着水して、それも隠れるでもなくわざわざ発見されるのは何故なのか。しかもシールドで閉鎖空間を作って何をするかと思えば、手間暇かけて地球人の施設を利用して通信を試みるという、噴飯ものの展開。一体それで何を通信するのか。この戦闘が予期せぬトラブルで本星に指示を仰ぐとしても、地球人の技術では超光速通信はできないのだから、返事が来るまで何年も待たなければならないだろう。到着の報告ならわざわざ地球に降りなくても、宇宙空間から送信すればいいではないか。それとも恒星間宇宙船を送れても通信する技術はないとでも言うのか。
異星人の”パワードスーツ“にしろ”オートクリーナー“にしろ、自分達に有害となりそうなものを識別して攻撃しているようではあるが、あれだけの攻撃力を持ち、現住生物の死に全く無頓着な様子はとても友好目的とは思えない。
最後の戦艦ミズーリの出番に至っては「まあ頑張ってください」としか思えない。あんな少人数でちゃんと動くだけでなく、砲撃戦までやってのけるとは、なんと凄いアナログ艦なんだろう!展示艦にしておくのはもったいない!
そしてエンドロール後のおまけシーン。あんな事件があったのに落下した破片が全く捜索もされず、放置されているのは考えられない。安っぽいホラー映画じゃあるまいし、蛇足の極みである。せっかくの100周年記念映画というのに、何故ユニバーサル映画はこんな脚本にOKを出したのだろうか。