劇場公開日 2012年9月21日

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「実はトム・クルーズは神であるという話」ロック・オブ・エイジズ よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0実はトム・クルーズは神であるという話

2019年1月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本来であればこのタイトルでピンとくるべきでした。デフ・レパードの同名曲は劇中でも使われてるし、特に象徴的な意味はないと思っていましたが、そもそもRock of Agesとは賛美歌のタイトルにもなっているイエス・キリストの象徴である「千歳の岩」のこと。これはロック・ミュージカルのふりをしたイエスの死と再生そしてイエスに導かれる使徒の物語、すなわちトム・クルーズ先輩扮するステイシー・ジャックス=イエス・キリスト、ローリング・ストーン誌の記者コンスタンス=マグダラのマリア、シェリーとドリュー以下合計12人の使徒の物語。もちろんステイシー・ジャックスのマネージャーがユダ。
そう考えると冒頭ヒロインのシェリーがオクラホマ発LA行きのバスの中で口ずさむ歌がSister Christianであり、LAに着いたところでカブってくる歌がJust Like Paradiseであることにも意味が出てくる。シェリーの苗字もクリスチャンですし。
劇中におけるロックの殿堂、バーボンクラブを潰そうとする保守勢力はわざわざ教会で会合を開きますが、その言動は実際のキリスト教原理主義のそれほどはエグくはないものの、"ロックの反意語は「照れ」である"という私の持論をも裏付ける風刺に満ちている
しかしそんな雑談はあくまでオマケ。”1987年”と題されたパラレルワールドで繰り広げられるパーティはあくまで色鮮やかで美しい。まぁ『涙のフィーリング』とかのエグいシャレもありますが。
個人的には新録部分の演奏にティム・ピアースが参加してる点も高く評価したいです。80’sサウンドのど真ん中にいたのが彼なので。
『フットルース』へのリスペクトも忘れていないちゃんとした青春映画なのに公開規模が小さすぎて残念、客席には私を含めて2人しかいなかったので、大声で一緒に歌えたのがよかったです。

よね