この愛のために撃てのレビュー・感想・評価
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生まれなくて何よりでした…
いくら妊娠8ヶ月とは言え、子宮口が開いた状態で…と思わずにいられなかった主人公の妻の惨事に目がくぎ付け!でした。冒頭で「なぜ(ありがちな)臨月ではなく、出産一ヶ月半前なんだろう?半端な設定…」と疑問が浮かびましたが、後半の展開で納得。臨月では過酷というより危険すぎます。(ちなみに、一ヶ月半前というのは産休に入る時期でもあり、一般的にも妥当なのかもしれません。あくまで日本の例ですが。) 物語は、前作「すべて彼女のために」同様テンポよく、まさかの展開の連続で引き付けられます。さらに、それ以上に壮快!だったのは、凡人然とした主人公とプロに徹する殺し屋の距離感です。両極の境遇にある二人が、深夜に焚き火の前(または港に停車した車の中)で語り合い、いつしか親近感を抱き…なんていう(ありがちな)展開は皆無。緊張感はそのままに、どこまでも平行線を保ちます。怯え、慌てふためき続ける主人公と、冷静沈着な殺し屋が好対照でした。プラス、(少なくとも、日本では)有名すぎる役者が出ていない分、誰が悪か、誰がカギか、誰が死ぬか・生き残るか…というのが読めない点もよかったです。 唯一の・最大の不満は、邦題のミスマッチ。(たぶん)原題からも物語からもかけ離れていますし、何より、作品のクールな感触をかき消しているようでもったいないです。前作の邦題とは「ために」しか一致しておらず、連想しやすい語呂とも思えません。(ちらしやポスターは近い雰囲気でしたが。)同監督の次作公開時は、改善を望みます。
【”全ては妻とお腹の子の為に。そして警察のバイトの果て。”仏蘭西発ノンストップ・サスペンス・アクション。目まぐるしい展開の中、真相が暴かれる過程をスリリングに描いた作品。】
■パリ市内の病院で働く看護助手・サミュエル。
彼は突然家に押し入ってきた謎の男たちに暴行され意識を失う。
目が覚めると、身重の妻ナディアは誘拐されていた。
犯罪常習者の入院患者サルテを連れてこいと脅迫された彼は妻を救うために実行しようとする。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭からのスリリングな展開が面白く、且つ脳内フル回転で鑑賞する。
・途中で、或る警察官が”警察のバイト”という台詞を吐き、真相を探っていた殺人課女性刑事が、同僚に撃ち殺されるシーンで全ては氷解するが、この作品の見所は、スリリング且つスピード感、緊迫感あふれる作品展開である。
<”善”であるべき警察組織の”悪”に対し、巻き込まれた男と、”悪”が”善を装った悪”に天誅を下すラストはナカナカな作品である。>
USB!USB!カモン、ベイビー、無茶苦茶~♪
『すべて彼女のために』のフレッド・カヴァイエ監督。『すべて』もかなり面白かったけど、こちらは上を行く。善良な一市民が犯罪に巻き込まれてゆく過程を大胆かつスリリングに描いていて、そのドキドキ感は85分という短い尺の中に凝縮しているのだ。
容疑者サルテ(ゼム)はなぜ追われているのかわからないという状態で交通事故に遭ってしまい、病院に収容される。その晩に白衣を着た闖入者が吸入管を切るという事件が起きた。その処置をしたのがサミュエル(ルルーシュ)であり、彼を尾行したサルテの弟が彼を襲いナディア(アナヤ)を誘拐。サミュエルは脅迫通りにサルテを連れ出すが、サルテも弟も何者かに命を狙われていたのだ。
その追手は警察内部のヴェルネール(ジェラール・ランバン)率いる捜査班だった。彼らは警察の仕事以外にも裏の仕事をやっており、ある資産家殺しを実行し、強盗常習犯のサルテを犯人でっち上げようとしていたのだ。サミュエルの悩みを聞いてくれた殺人課のファーブル(ミレーユ・ペリエ)が現場にかけつけると、無残にもヴェルネールの部下に殺される。サミュエルは無実の刑事殺しの罪をも被せられ、逃亡犯として追われることになる。サルテとサミュエルは結託して、ヴェルネールの殺害現場を撮ったUSBを奪おうと計画する・・・
腐敗した警察内部を描く映画はやはりフランス製がピカイチ。残忍で手際よく、世で無事に解決した事件さえ捏造があるんじゃないかと妄想が膨らんでしまうほどだ。また、終盤には思いがけない手法で警察内部の部屋に侵入する!サルテがボスに頼んで、ある時間に一斉に軽犯罪を起こさせるのだ。警官たちはあちこちの現場に駆り出され、阿鼻叫喚ともいうべき忙殺される雰囲気の中、POLICEの腕章をつけただけで侵入に成功するサルテたちだった。サルテの弟も殺され、サミュエルの妻も警察に監禁され、やがて事故死を装って殺されそうになる。無茶苦茶な警察!
そんな警察のなかでもファーブルの部下スジーニ(クレール・ペロ)の思いやりの目がよかったな。
渋くてシリアス
出産を控えた妻を持つサミュエルは意識不明の男を助けたことから何者かに妻を誘拐されることになり…。 本国で大ヒットを記録したフランス映画。アメリカリメイクから先に鑑賞したが、原作はよりシリアスな内容になっていて個人的にはこちらの方が渋くて好きでした。
寡黙な男たちが映える熱い90分
病院に担ぎ込まれたワケあり風の男を担当することになった看護士が臨月間近の愛妻を人質に取られ3時間以内に病院の男を連れ出すよう要求される。日常から一瞬で裏世界に身を落とした男が愛する妻を奪還する為に命懸けのリベンジに打って出るまでの緊迫しまくりの90分。主人公とワケあり男の間に奇妙な友情が芽生える一部始終を全く台詞に頼らずに男の背中で描き切る、イケメンが一人も出てこないゆえに余りにも美しい逸品。必見です。
最後まで続く素早い緊迫感
総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:80点|ビジュアル:70点|音楽:70点 ) 事件に巻き込まれた男が家族のために奮闘するというよくある物語なのだが、主人公は平凡な一般市民だったり成り行き上たまたま同じ側に来たのが罠にはめられた殺し屋だったりとかで捻りを聞かせている。それを最初から最後まで息をつかせぬ緊迫の展開を見せ続けてくれて、一気に結末まで持っていった。変に正義を振りかざすのではなくて、それぞれが自分のためにだけ動いているのが潔くて心地よい。冷酷な容赦ない敵と、同じく冷酷で容赦ないのがここでは共通の敵をもつことになった犯罪者サルテとに挟まれて、それでも妻のために迷いなく命懸けの行動をする夫サミュエルの姿が頑張っていた。本来は凶悪犯にすぎないが今回ははめられたサルテもかっこよかった。
ノンストップ・アクションで疲れる。
フレッド・カバイエ監督の第二作。デビュー作の「すべては彼女のために」は、ラッセル・クロウ主演で「スリーディズ」としてハリウッド・リメイクされている。 前作は、平凡な国語教師が無実の妻を救うべく、自らの手を汚してまでも刑務所からの脱走と逃走を描いたものだった。 これは、身重の妻を何者かに誘拐された看護師助手が、妻を救うために突き進むハイテンションな活躍をみせるストーリー。 敵の意外性や助けとなるのが殺し屋など捻りを加えた脚本も中々よろしい。 殺し屋との迷コンビで妻を追いかけ、看護師助手はあくまで妻の救出。 殺し屋は自分を嵌めた本当の悪を追い詰めるために看護師助手と行動を共にする。 だが、甘い馴れ合いは無い。殺し屋はクールに行動する。この辺がカッコいい。一ヶ所トイレであわやと云うところで夫が助けに入るが、その前にトイレに目を向けるワンショットを入れて欲しかった。でないと調子が良すぎると感じる。 駅での追いかけっこや、署内の喧騒の中突き進む緊張感など、ハイテンションは最後まで続きラストでようやく落ち着きを見せる。 好みで云うと主人公より殺し屋のほうがカッコ良い。 もうけ役と云える。 観て損はない作品。
夫婦のすごい頑張り。
名画座にて。
最近のおフランス映画は、一体どうしたんだろう!(嬉しい叫び)
やたらアクションづいてないか。しかも一級品の面白さときてる。
97時間にも代表されるように、息もつかせぬアクションに次ぐ
アクション、そのうえ上映時間はほぼ90分ときてるぞ。巧すぎる!
(ちなみに今作は85分間となっております)
確かに内容の派手さではハリウッドめいてきているが、いやいや、
この単純な展開とスピード感は(知らない俳優でも)十分楽しめる。
小難しくて長々としたサスペンスアクションばかりが横行する中、
いいものを作ってるな~vと嬉しい叫び声をあげてしまう。
それにしてもこのタイトル^^;今作の存在すら全く知らなかった。
どうしてこういうのが世に出ないのか。よっぽど面白いのに~。
名画座さま御礼申し上げます。いっそ同盟作って広げてください。
物語はけっこう単純だが、明快ではない^^;
主人公が於かれた立場が観客も始めは分からないため、一緒に
走り回ることになる。犯人と思われる男と逃げ回るうちに事の真相
が分かり(けっこう早い段階で)黒幕も判明する。しかしこれが厄介。
だいたい看護助手の男に何ができる。いや妻のためならできる!
ホントこのおっさん(顔がそうなんだもん、ゴメンね)スゴイの何の。
っていうか出産間近の妻もスゴイけど^^;頑張ったわね、この夫婦!
結末がどうなるか、は(想像つくと思いますが)お楽しみとして。
何しろ85分間、走りっぱなしの臨場感とドキドキする切羽詰まった
状況にアクションドラマの面白さを堪能できる作品。
この監督って、とにかく妻のために頑張る男を描くのが好きなのね。
(これで産まれる赤ちゃんもスゴイ。なんてハードな子宮滞在時間^^;)
息、つかせてください・・・
劇場映画デビュー作「すべて愛のために」が、高い評価を集めたフレッド・カバイエ監督が、「アデル ファラオと復活の秘薬」のジル・ルルーシュを主演に迎えて描く、サスペンス・アクション映画。 一つの誘拐事件をきっかけに巻き起こる、警察、キナ臭い裏組織の危険な男と罪なき一般人とのくんずほぐれつを地で行く攻防戦を軸に展開する本作。 手に汗握る駆け引き、華麗に熱いアクション、そしてシンプルに編み込まれたサスペンスの緊張感と、多種多様な娯楽の要素が贅沢に流し込まれた90分のジェットコースター映画として見事な成功を遂げている。 基本的に、ヒゲが濃いダンディズム溢れる男性の皆様が画面狭しと暴れ回る展開が貫かれている作品であるために、何やらむさ苦しい雰囲気が充満した物語を予測してしまう。 しかし、そこは優雅さと暴力をバランス良く料理して数々の良作を世に送り出してきたフランス映画界。警察、闇組織、そして主役を演じる男の妻と、それぞれの立場に目を奪われる美人女優陣を適度に混ぜ込み、胸躍る犯罪劇に思わぬ華を添えている。 かといって彼女達は男性の世界において添え物という訳ではなく、強い!凛々しい!格好良い!女性が軽快に立ち回る。魅せる映画とは何かを理解した上での作り方である。 主役を演じ切ったジル・ルルーシュの闇雲に、それでいて本能のままに突っ走る鬼の如き形相もいかにも楽しげ。違和感なき興奮を与えてくれるかと思えば、彼の束の間の相棒を勤める極悪人もスマートな身のこなしに、清潔な魅力、ただただ格好良い。キャスティングの妙があらゆる部分に行き届いているのも大きな成功の理由だろう。 フレンチ映画の荒々しさと、スタイリッシュな疾走感。この一見相容れぬ要素が両軸で思う存分楽しめる見事な一本。サスペンス、ここにありである。
「96時間」の妻版みたいだった
テンポ良し、ストーリー良し、思いのほかいい出来で90点。まるで「96時間」の妻版みたいだった。 役者をよく知らないので、誰が良くて、誰が悪いか見当がつかないところがいいね。 この愛のために・・・というタイトルをわざわざ付けるほど、愛、愛、愛って感じではない。妻が誘拐されたらみんな助けようとするだろう。 タイトルがよければ、もっとヒットしただろうに。最初、恋愛物か西部劇かと思ってたもんね。
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