「小さい頃に観た作品。作画が…」映画ドラえもん のび太の恐竜2006 ルルさんの映画レビュー(感想・評価)
小さい頃に観た作品。作画が…
昨年成人を迎えた私だが、小学校低学年の頃にちょうど本作「のび太の恐竜2006」や「緑の巨人伝」あたりが映画館で観れた世代だった。旧版と比較していないのでそこについては触れられないが、どちらも小さい頃のお気に入りで(あの頃に話を理解していたかはともかく。「カチコチ大冒険」の監督がインタビューで「子供は難しい所は無視して観ることができる」と言っていたが、まさしくその通りで、とりあえず難しい所は記憶に無く、ピー助やキー坊とが可愛くてお別れが泣ける物語としてちゃんと感動していたのを覚えている)、久しぶりに見返そうと思いNetflixで鑑賞した。
相変わらずドラえもんの感動シーンで流れる音楽のセンスが秀逸だと思った。ピー助の声についても色々言われているが、個人的にはあまり気にならなかった。ただ、改めて観るとその作画のあまりの癖のすごさにびっくりしてしまった。新版ドラえもんの映画はテレビアニメに比べて温かく、丸っこくて手描き感のある優しい線画をしているのが小さい頃から大好きだったのだが、この映画に限っては手描き感が行き過ぎて、昔間違えてネットで見てトラウマになった二次創作のめちゃくちゃな作画のドラえもん(分かる人は分かってくれると思う…ボブネミミッミみたいな作画のやつ…)を思い出した。問題のティラノの場面は「えっ…ラフ?!?!」と思うくらいカクカクで描き殴り感が凄い。個人的には最近のアニメによく見る「必要以上にヌルヌル動いて揺れる作画」は好きなのだけれども、あまりやりすぎても見ずらく不安な印象を与えるんだな…と感じた。元ジブリやらすごい作画の人たちが集まっていたらしいので、その人たちがドラえもんという万人向け王道コンテンツでまさに「オタク全開」で遠慮せず好きなだけ個性を出しまくり、かつそれを制止するような立場の人もいなかった結果、このようにシーンごとにかなり差のある作画になったんだろうなぁと思う。個性的で全然良いと思うけれども、ドラえもん特有の温かみと包み込むような優しさ・安心感が消えて、代わりにクレヨンしんちゃんやボブネミミッミドラえもんのような、不安定で神経を逆撫でするような独特さに振り切ってしまったのは、個人的には残念だったかなぁと思う。
とはいえドラえもんは子供のためのコンテンツなので、かつて幼かった私がこの映画を観て確かに目を輝かせていたのだから、大人がとやかく言うのはダメなんだと思う。私が純粋にこの映画を楽しめずこんな視点を持つようになったのも、成長の証といえばそうだし、つまらない大人に成長したといえばそうだと思う。ドラえもんとの冒険は今でも私の心の中に残っているし!、今後も沢山の子供に寄り添うものであってほしい。