劇場公開日 2006年5月13日

「ボケるのは怖い。 「死」の次に人類が恐れるのが「認知症」ですから。」明日の記憶 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ボケるのは怖い。 「死」の次に人類が恐れるのが「認知症」ですから。

2025年6月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ボケるのは怖い。
「死」の次に人類が恐れるのが「認知症」ですから。

高齢化社会です。
映画の世界も洋邦問わずに、このジャンルでの製作と封切りはずいぶんと増えました。

ご両親さまのこと、そしていずれは自分自身のこととして、スクリーンを観ながら、さまざまな想いが胸中に巡るのは当然です。

吾輩、
遺伝子解析のシステム会社に登録をしてあります。
「唾液」を郵送して、さまざま、微に入り細に入り、結果が判明するごとに解析データがメールで逐次送られてくる あれです。

体格の特徴や毛髪のハゲ具合(笑)他、
花粉症の強弱の傾向や、老眼の進行などは興味津々の診断なのだが、
今後、体内の臓器に起こるであろう重大な疾患についても、発病の予想値が送られてくる。
(ゆえに「申し込みフォーム」には自身の最期について知りたくない人間は申し込みをしてはならない旨、警告がある)。

先日はついに
「あなたは○歳まで生きる可能性が高い○○のグループに属します」との診断とグラフが届いた。
うーむ。そうかー。
点点点・・である。

・・・・・・・・・・・・・

まさかここまで我々の平均寿命が延びるとは、予想できなかったことだ。
前回の東京五輪時 → 67歳
前回の大阪万博時 → 68歳

「死にたくない」との願いは、藁をも掴む思い。
長寿や医療の発達で相当に叶ったこの願望だけれど、そこにはちゃんと“オマケ”が付いてきた。
そしてその“オマケ”は、前もって僕たちにプレゼントされる場合もあるのだ。

この映画「明日の記憶」はそこをドラマにしたものだ。

カミングアウトする患者さんも増えてきて、社会的にも知られるようになってきたこの「若年性認知症」。
自身患者でありながら講演活動や家族へのサポート団体を立ち上げている方もいる。
本作品は、たくさんの取材を経て、ここまでのリアルなストーリーになったのだと思う。

・・・・・・・・・・・・・

《悪あがき対策》のいろいろ。
医薬品とか、サプリメントとか。

◆【レカネバブ】
あれを
“健康補助食品サプリメント”として売り出せばどうなのでしょう?
国から保険診療が認可されたばかりのアルツハイマー型認知症の進行抑制治療薬「レカネバブ」。
脳内に蓄積したアミロイドβを除去してくれます。
これは人類が待ちに待った夢のおクスリではあるのですが
しかし「認知症が始まったことを医者が認めて」「診断書を書かなければ」処方箋は出ない。保険も効かない。
つまり、“一旦は患者にならなければ投薬が受けられない“のです。
なぜ?なんか変な感じがする。ちょっと割り切れませんよね。

実費で年間300万円かかるらしいが、患者さんには健保と高額医療費免除がある。患者とその家族の経済的負担は軽い。

そして単純な私きりんとしては、この夢の新薬「レカネバブ」でもって徐々に溜まっていくアミロイドβの蓄積を阻害し、排出し、その結果、アルツハイマーを“事前に治療”出来るのであれば、《予め》、《予兆が出る前から》、《予防のために》、《早めにスタートして》摂取し始めておいても良いように感じるのだが・・
これは素人考えなのだろうか?

300万ならば、これに飛び付いて自腹で購入する人はいくらでもいるはずなのだ。
こういう①病院の処方と、②個人の自由診療。この二本立てでの販売方法は、新薬の開発費の回収のためにも良策と思えるのだが
どうなのだろう?
実際今のところは「静脈注射の点滴製剤」であるがゆえ、個人販売は難しいのだろうか?

◆【中鎖脂肪酸 MCT特化の食用油】
これ、我が両親のために使っています。
老人ホームでの実験⇒「認知症のお年寄りに摂取してもらって、その前後で記憶力テストに差異が出るかどうかの実験」をNHKで視聴したからです。
番組の中では、ご家族が仰天して笑ってしまうほどの好転が見られたお年寄りもおられました。

中鎖脂肪酸は、元々脳に存在する必須脂肪酸。それが枯渇すると脳が飢餓状態になるのだとドクター。
3時間しか効果が認められないことから毎日三食、日常的に使用する料理油をこれに切り替えるのが良いかと。
スーパーの棚には必ず置いてあります。僕も使っています。
動物は経験上でしょうね、それを知っていて、霊長類のチンパンジーは共喰いをする時には相手の脳を食します。

◆「ヤマブシタケ」のサプリメント
我が長野県はキノコ産業の一大産地。
β-グルカンの効用とともに、加齢で損なわれる脳のシナプスへの保全の効果が有るのだと。

ずっと飲んでますが、
この「サプリメント」や「油」の不安は
・効いているのかどうかが分からない事と、
・初めたら最後、これを止めたらどうなるのヨ!って怖気づく事です(笑)

・・・・・・・・・・・・・

犬やネコは、実にじょうずに年を取っていく。
泣いたり騒いだりしないで、自分の老いや死をあんなにも静かに受け入れている。
羨望だ。

渡辺謙と、樋口可南子の、切切たる夫婦の演技。
人の顔は覚えていてもだんだんと名前が出ない。
忘れ物がないかを自分で意識して確かめるようになった。
この身に覚えのある悔しさと恐怖に太刀打ちが出来るか・・。

ラストの あのやり取りと、妻の眼差しに、こちらも言葉を一瞬失ってから、
ゆっくりと、再び歩き始める夫妻の後ろ姿を見送ります。

「若年性認知症」の存在を、ひと事ではなく自分事として知るきっかけの、
大切な映画であったと思います。

・・
・・

特別養護老人ホームの介護職員であった僕からすれば、
かつては喋ったり、 覚えたり、 歩いたりも出来ずに、 トイレにも行けなかった赤ん坊に対して
ただただ、柔らかい笑顔と、穏やかな語りかけと、抱っこと、褒めに褒めちぎったオムツ交換の時の、頰ずりしながらの楽しい話しかけ・・
ああやって僕たちは赤ちゃんに接していた、
あのころに戻れば良いのだと知っているのは幸せなことです。

父は失禁と暴力が始まりました。
一緒にゆっくり歩くこと。
手をつなぎ、抱っこすること。頰ずりすること。
「それが僕たちには出来るよ」
「愛しているよ」と知ってるって事って、
幸せなことです。

きりん
ミカさんのコメント
2025年6月15日

こんにちは。私は帯状疱疹ワクチンを打ってますが、認知症予防効果があるみたいです。

ミカ
PR U-NEXTで本編を観る