劇場公開日 2011年10月1日

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「父親の最期を実の娘が克明に映像で綴ったドキュメンタリー」エンディングノート えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0父親の最期を実の娘が克明に映像で綴ったドキュメンタリー

2023年4月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

末期がんを宣告された父親の終焉までの足跡を実の娘が克明に映像で綴ったドキュメンタリー。

以前、ある方が「がんはいい死に方だ。逝く方も遺される方も準備ができる」と言っていたのを思い出す。この言葉通り、本作ではがんが主人公の身体を徐々に蝕みつつも、家族と一緒の生活を送り、落涙や放心を繰り返しながら、双方が別れの準備をしていく様がつとめて朗らかに記録されている。美しくも切ない家族の物語。

本作のように、遺される者の悲哀や落胆だけでなく、逝く者の死への葛藤と受容も描かれている作品は珍しいのではないか。ハナレグミの「天国さん」がたまらなくいい。パートナーや家族、自分の両親と観て欲しい、素晴らしい映画。

強いて難癖をつければ、まさに死の際の演出とナレーションの2点。臨終の場面、「表現者」と「実の娘」の間で揺れ動く気持ちは分からないではないが、末期がんの父親に被写体となる覚悟を決めさせたのなら、監督本人も最後まで加虐的なドキュメンタリストとしての覚悟を決めて欲しかった。またナレーションは監督が担当しているが、声がアニメ声すぎる。予告編を読んでいるプロの男性のほうが良かったのではと思う。

えすけん
Mさんのコメント
2023年6月6日

監督はどんな気持ちでこの作品を撮ったんだろうな。
そんなことを思いました。

M