劇場公開日 2011年9月10日

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「シニカルなハラハラドキドキのサスペンス。」ミケランジェロの暗号 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0シニカルなハラハラドキドキのサスペンス。

2011年9月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

第2次大戦時のウィーンで、ユダヤ人画商一家が持つミケランジェロの絵画をめぐる、ナチスとユダヤ人画商の戦いを描いた作品。

オーストリアで制作されたドイツ語の映画です。久しぶりにドイツ語を聞きましたが、英語と(ほぼ)同じ言葉は別として、それ以外は全く判りませんでした。当然ですが。

正直、見ていくうちにオチは予想がついて、実際にそのとおりの結末になるのですが、それでも、そこに至るまでの話が面白い。魅せられます。そういう意味で、ハラハラドキドキのサスペンスが基本なんですが、所々、ユーモアと言うか、シニカルな描写の所があり、劇場内で若干の笑も起きていました。

さて、なぜミケランジェロの絵画なのか?と言う事なんですが、実は、ミケランジェロはユダヤ人にシンパシーを感じていたとも言われており、ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂の天井画にも密かにユダヤ人を描いています。日本人には解らないところなんですが、キリスト教の教会にユダヤ人の姿を描くというのは、ある意味、教会に対しての反抗であるそうです。そう言う背景を持つ画家の絵画なので、ユダヤ人画商が持っているというのも、物語の背景としては意味があるらしいです。

『ミケランジェロの暗号』と言う邦題ですが、あまりいい邦題では無いですね。これだとミケランジェロの絵画に何らかの暗号めいたことが描かれており、それをめぐる話のような印象を受けますが、中身は全く違います。『Mein bester Feind』と言う原題は、“私の最高の敵”と言う様な意味なので、こちらの方が映画の内容に合っています。まぁ、邦題に若干の難はありますが、見応えのある中々面白い映画です。

勝手な評論家