劇場公開日 2011年9月10日

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ミケランジェロの暗号 : 映画評論・批評

2011年9月6日更新

2011年9月10日よりTOHOシネマズシャンテほかにてロードショー

危機一髪のスリルとドタバタ喜劇が絶妙にブレンドされた娯楽作

第2次大戦下のオーストリアを舞台に、ナチスに迫害されるユダヤ人一家の運命を描く。と言えば悲劇めいて聞こえるが、名画の真作・贋作を盾にして、したたかにサバイバルしていくスリル満点のサスペンス娯楽作だ。

その名画とは、ミケランジェロの「モーゼ」像の素描。ミケランジェロは彫刻制作のために数多くの素描を残しているから、「モーゼ」の素描が見つかれば世紀の大発見になるというのが脚本のヘソ。そこに、ムッソリーニのご機嫌を取るため、ヒトラーがこの絵を欲しがったというエピソードを絡めたアイデアが楽しくてワクワクする。

この素描を所有していたのはウィーンのユダヤ人画商カウフマン。それをナチスに密告して出世の糸口にしようとするのが、息子ビクトルと兄弟同様に育った使用人のルディだ。裕福な人間は善意と信じて貧しい者に親切を施すが、施しを受ける側はそれがコンプレックスの元になるという心理も垣間見える人物関係が面白い。その中でも注目すべきはルディの裏切りを予測して秘かにニセ物を用意していたカウフマンだ。名作の真贋を見極める画商の眼は、人間の心理も読み取るということなのか。収容所で死んだ後も彼の思惑は他の登場人物をコントロールし続けるのだから、このストーリーの真の演出家と言ってもいいほど。本物の隠し場所を取引材料にしてナチ相手に大胆な賭けに出るビクトル。その<ナチスに囲まれたユダヤ人が生き残る唯一の方法>が奇想天外。危機一髪のスリルとドタバタ喜劇が絶妙にブレンドされ、笑い続けて飽きる暇がない。

(森山京子)

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