「山本五十六の真実を語っていない70年目の真実」聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実 metropolitan613さんの映画レビュー(感想・評価)
山本五十六の真実を語っていない70年目の真実
軍事オタクや歴史研究家なんて、極少数で、観客の戦争に対する関心や思いは違うわけだから、興行的な成功も必要とするエンタメとして、作る側りの苦労は理解できた。
大東亜戦争の議論に、「北進論(対ソ連)」、「南進論(東南アジアで資源確保しインド方面へ)」(東進論(太平洋へ))があれど、帝国陸軍内に組織されたシンクタンク「通称 秋丸機関」においては、敵国の国力の詳細に調査分析、開戦となった際の緻密なシミュレーションを纏められていた。そこにはアメリカとの開戦は避けるべきとされている。戦後教育の影響か、帝国陸軍の暴走とか関東軍最低等や陸軍下げ、海軍上げの風潮は個人的に与しない。当時の陸海軍とも官僚組織的な一面は人事において散見される。真珠湾攻撃を受けたアメリカ側の司令官キンメル海軍大将は、その責任で少将に降格の上予備役となった。戦後、名誉回復が議会において議決されたが、クリントンもブッシュも議決へのサインを拒否し、名誉を回復しないまま亡くなっている。私個人の主張として、南雲忠一には大きな責任があると考える。端的に言えば愚将との判断だ。南雲は判断と指揮を誤った。しかし、山本はそのことをスルーしている。山本が名将であるかのような、いわば都市伝説にも近い評価は大いに疑問である。私は「三船敏郎」、「山村 聰」、「舘ひろし」と今回の「役所広司」と4人の山本五十六を見てきたが、「山村 聰」推しだ。役所広司は優れた俳優である。本作での演技は素晴らしい。しかし、役所広司が演じた軍人では「阿南惟幾」に軍配を挙げる。現在において山本五十六への評価の高さと阿南惟幾の評価の低さは不公平でしすない。阿南惟幾がいなかったら、戦争の終戦はさらに遅れた可能性が高い。あと、映画の中でも触れられるが、メディアは開戦へ世論を煽っていた。日露戦争後の渋谷焼き討ち事件はメディアの影響によるものである。その急先鋒は「朝日新聞」であり、次いで当時東京日新聞「毎日新聞」だった。それに触れる映画は観たことはない。その意味では評価したい。最後に山本五十六に対する評価はそれぞれあって良いと思う。私は、博打好き、女付好きで、アメリカとの開戦、そして敗戦の要因のひとつは山本五十六であったと思っている。「戦争をしない」という公約で当選したルーズベルトにとって、開戦への世論の醸成というチャンスを与えただけである。山本五十六の逸話に「開戦後アメリカに痛撃を与え、有利に講和に持ち込む」はその中にアメリカ国民の精神まで探求されたものではない。それは、「ミッドウェイ開戦」で早々に瓦解した。私はアメリカで何を学んできたきたのかと言いたい程だ。この映画を単なるエンタメとして楽しませていただいた。
初めまして。!
山本五十六連合艦隊指令長官は貴殿が言われる様に高く評価されすぎと思います。!
始めた人が終わらせる責務があると思います。!
私のレビューも見ていただければ幸いです。
失礼させて頂きます。!