劇場公開日 2011年7月23日

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「メキシカン第九地区的な」モンスターズ 地球外生命体 ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0メキシカン第九地区的な

2024年2月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

映画なのかと思ったけど、なんか全然違って静かな映画でした。

NASAが地球外生命体のサンプルを取得したまでは良かったが、帰還中メキシコの上空で大破しサンプルをメキシコに振りまいてしまったことで地球外生命体がメキシコの一部で繁殖、繁殖エリアを隔離地区とするも、繁殖した巨大な地球外生命体によって街が破壊、アメリカ軍の介入でこの地球外生命体の掃討作戦が展開される。

この生命体の繁殖力の強さからか掃討作戦が一向に進まないメキシコにやっと入国できたスクープ狙いのカメラマン、コールダーだったが、会社の上司からメキシコに来ている新聞社の社長令嬢サムを無事に送還する命を受け、彼女を国境付近まで送ることになったのだが。

形としてはエイリアンの襲撃エリアからの脱出の体だが、見方によっては突然始まった内紛や戦争地域からの脱出のようでもあり。途中で脱出のための交通手段を確保しようとするも足元を見てエゲツない商売をしてくるおっさんやら、なんとなく金づくで無理やり通してしまういい加減さなど混沌とした戦場地域の様子が描かれているようにも見える。

戦闘に慣れてしまっていつつも、米軍のエイリアンへの応戦によって犠牲になるメキシコ人達の話もあったり、いろいろな問題を戦争ではなくあくまでエイリアンとの戦いとして風刺している、そんな感じの前半だった。

中盤以降、ちょっと色々な要素を入れ込み過ぎてしまった割には尺が短いために消化不要の部分や駆け足に物事が進んでしまっている部分もあって、シンプルに脱出劇にフォーカスするのか、もしくはエイリアンの正体を暴きに行くのか、それともコールダーとサムのこれからを描くのか、どこか一つに絞ってみたらよかったように思う。

地球外生命体の繁殖の仕方や生態など面白い設定も多く、メキシコという舞台もうまく活かせていたように思うだけに、絞り込む部分がぼやけてしまったのが少し悔やまれる。
テーマの割にはとても静かで、豊かな自然がとても印象的な作品だった。

ハルクマール