「スクラップ&ビルド」007 スカイフォール odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
スクラップ&ビルド
公開時、映画館でも観ていたのだが、正直あまり良い印象が残っていない、何故だったのかの思いもありBSで放送していたので録画視聴してみました。
やっぱり流行の露悪趣味が鼻につく後味の悪い映画だったと再認識。
先ず定番のアバンタイトル、トムクルーズさながらのバイク・シーン、列車の屋根での格闘と既視感満載、無駄に車を壊し過ぎるし、なんと列車までブルトーザーで破壊、普通、これだけやれば運転手は異常に気付いて列車を止めるでしょう。あげくにボンドが仲間に撃たれて河に大落下、スカイフォールとはこのことか・・、実家の地名とは知らなかった。
大体、アバンタイトルでは痛快な作戦成功の寸劇で観客のハートを掴むのだが真逆の展開、見せ場重視の従来の作風を壮大に皮肉っているのでしょうか。
流石、不死身のボンドかと思いきや復帰のボンドを総合診断、ポンコツ扱いしたかと思ったら、政府すら、時代遅れのMI6は無用の長物と全否定。Qまで世代交代の今風オタクに様変わり。
冷戦も終わり、企業マフィアもやり過ぎたからか、敵役も「ダークナイト」のノーラン監督風の病んだ異常者に衣替え。
軍艦島を模した廃墟の島でかかる音楽は洒脱でコミカルなシャルル・トレネの「ブン」、およそ似つかわしくないものをあえて持って来て、助ける約束の美女まで見殺し、監督の露悪趣味には唖然とします。
北欧風の冬のスコットランドの古い屋敷、おそらく歪んだ母子愛の顛末の舞台としておあつらえなのでしょうが「ドラゴン・タトゥーの女」のミレニアム色まで借景の感、そもそも多勢に無勢で迎え撃つ作戦にどんな勝算があったのか理解不能、案の定Mを守りきれませんでした。
唯一、心躍ったのは懐かしのアストンマーチン、007のテーマをバックに走る姿にはやられました、つくづく、私はオールド・ボンドのファンと再認識した次第。なんと、その名車もヘリの機関砲で無残に破壊、胸が痛みます。ここまでの否定づくしの流れから時代の仇花も役目を終えたかと思いきや新しい官僚丸出しのMのもと喜んで任務続行とは釈然としません・・。
かくいう私も作りはどうあれ007とつくと観られずにはいられない性分、困ったものです。