「見どころは、アクションとコメディ。ゆるゆるな展開だけど、敵キャラも許しちゃう共生精神に共感しました。」琉神マブヤー THE MOVIE 七つのマブイ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
見どころは、アクションとコメディ。ゆるゆるな展開だけど、敵キャラも許しちゃう共生精神に共感しました。
★★★☆☆
所詮ヒーロー物だろうと色眼鏡で見てはいけません。沖縄発の文化を伝えたいというスタッフの意気込みが伝わってくる作品でした。見どころは、アクションとコメディ。
ヒーローと怪物が絡むシーンは、アクションの切れもよく、仮面ライダーにひけをとらないきびきびした動作を見せてくれます。
コメディの方は、マジムン(沖縄の方言で“怪物”の意味)のボス格ハブデービルを演じたゴリが突っ込み役のほか、沖縄芸人が集結。ちょっとした台詞にも爆笑するくらい、要所にギャグ満載なのです。だからヒーロー物としてでなく、かぶり物で笑いをとった『オレたちひょうきん族』のような楽しみ方を期待すれば、大人でも多いに楽しめる作品だと思いますよ。
とにかくローカルなご当地ヒーローが全国区に進出するところが凄いと思います。全国区に出ることになっても、地元の方言、文化や習慣、生き方など妥協なくそのまんま伝えるこだわりは普遍のようでした。
そのこだわりのテーマとは、沖縄独自の助け合いのこころ「ゆいまーる」を中心とした「自然保護」や「共生」。
沖縄と言えば、やはり碧い海が印象的です。作品も県内で最も海が綺麗な本島北部の古宇利大橋付近をロケ地にして、映像美を見せつけてくれます。
近年沖縄も開発が進んで、生態系のバランスが崩れてきています。オニヒトデの大量発生やマングースの野生化によって、ヤンバルクイナが絶滅の危機にさらされるると、今度はオニヒトデやマングースが駆除の対象になってしまう。そんな人間界の都合で振り回される生き物たちが、マジムンのモデルなのです。
だからマジムンは叫びます。人間からウチナーを守れと。プロデューサーは語ります。彼らは果たして悪者でしょうかと。彼らを敵視するのではなく、人間が自然界全体を大切にすることが重要ですとも。
ヒーローのマブイたちも、マジムンからウチナーを守るために立ち上がりました。互いに沖縄を守るということでは共通なんですね。だから映画のクライマックスでは、「ゆいまーる」が発揮。ヒーローたちは、マジムンたちを倒さず、改心させてなんとシェイクハンドしてしまうのです。他者を排除し、武力による攻撃と報復を繰り返す人間の歴史に、こんな風にやろうよと訴えかけているような結末でした。
もちろんベタでゆるゆるな展開に、あ~あとため息つきたくなるシーンもあります。まぁそれもご愛嬌としまして(^^ゞ、従来の戦隊ものにはない笑いと優しさが一杯詰まった本作は、大人も楽しめるけど、特にお子さんには、学びとなることが多々ある作品となることでしょう。