劇場公開日 2012年1月14日

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「古谷実ワールドを上手く表現出来てた」ヒミズ green condomさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5古谷実ワールドを上手く表現出来てた

2012年1月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

古谷実の原作を実写で公開するという事で、正直な所は不安で一杯だった。僕は古谷実の作品は稲中とぼくといっしょしか見ていないけど、この映画は古谷実ワールドが上手く引き出されていたと思う。主役の2人の絡みを見ながら、頭の中では古谷実の絵が展開されていて、どうにもニヤニヤが止まらなかった。
園子温監督といえば、エログロが代名詞のようになっているが、この作品では一切そういう要素は出て来ない。ここは評価の分かれる所かも知れないが、僕は最近の園子温作品のエログロに辟易していたので丁度良かった。きっと園子温監督もいつもと勝手が違って苦労しただろうなぁ。

どうしようもなく救われない中学生2人の話だが、最後の瞬間までこのどうしようもない空気感のまま話が展開していく。そして最後のシーン、、、むむむ。ここは評価が別れるだろうなぁ。僕的には最後のシーンだけ納得がいかなかった。「えっ、何!?これが言いたいが為に2時間掛けたん?」と思ってしまった。どうしようも無い現実は変わらないんですが、ちょっと希望が見えてしまうんですよね。多分ここに感動する人は多いと思いますが、なんかちょっと安易な終わり方な気がするんですよね。これって原作通りのラストなのかな?是非今度また原作も読んでみたいと思う。

主役の2人の掛け合いは良かったと思います。上手い訳じゃ無いんですが、2人のフレッシュな演技が伝わって来ました。ベネチアで受賞したのもその辺が評価されたのではないかと。しかし園子温監督は気に入った役者ばかり使いますね。主役の2人以外はいつものメンバーばかりで、ちょっと笑ってしまった。

ちょっと前に恋の罪を見て、園子温監督に落胆を覚えていましたが、この作品のお陰でまた先が楽しみになって来ました。

green condom