一命のレビュー・感想・評価
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紅葉(もみじ)を模した菓子は、なぜ緑色なのか
小林正樹監督、仲代達矢主演のモノクロ作品「切腹」を観たときの衝撃は忘れられない。竹光の痛み、どす黒い血、人物相関の図と地が入れ替わる瞬間…。だからこそ、三池監督とは言え、本作への不安は少なからずあった。
思えば、三池監督はいつでも分の悪い挑戦を敢えて選んできた。今回は、様々な点でことさらに。個人的には、笑いを封印した点がいちばんの挑戦だったように感じる。前作「十三人の刺客」ではおぞましすぎて笑いを誘った敵役(稲垣吾郎が演じた藩主)も、役所広司演じる家老は、背筋が凍るまでの冷徹さと悲哀を滲ませていた。
さらに今回印象的だったのは、菓子の使い方のうまさ。饅頭をつましく分け合うのは常套として、井伊家で出される紅葉(もみじ)を模した菓子には唸った。秋の菓子である紅葉が、なぜ緑色なのか? 後半その謎が解けたとき、胸が痛くなった。3D、高画質ならではの美しい紅葉(こうよう)が、違った色を醸し出す瞬間だった。
小林版、三池版、どちらが上、どちらが勝るといった比較にこだわらず、今だから表現し得た、新たな物語世界を味わいたい。
続けて2回も観ました
ストーリーは同じでも、元作とはまた違った味わい
賛否両論にびっくり
前作や原作を知っていると、これが軽薄に見えるらしい。
市川海老蔵じゃダメで満島ひかりもダメ
なんだそうだ。
なるほど。
ただ 漠然と(瑛太の切腹風景は見てられなかったが)
娯楽(という言い方もこの場合不適切な言い方だが)
として視聴したので、その類のレビューを見て、そうだったのかと驚いた。
まあ栄養状態の酷い母親の乳でこんなにぷんぷくりんの赤ん坊はナイわ、とは思ったけれど。
というか、これってホンモノの赤ん坊を使ったのだろうか。
最後の海老蔵の殺陣は美しく、満島ひかりの演技ももちろん申し分無し に見えた。
満島ひかりの子ども時代は、もうちょっとなんとかならないものか、こういうところに子役の層の薄さもしくは起用の仕方をハリウッドと比較してしまう。
あの顔は将来満島ひかりには、なり得ない。とは思ったが。
瑛太の、竹光での切腹は全く惨たらしい。
人を痛めつける快楽が顔に現れている二名(青木崇高と浪岡一喜)の起用が全くこの場合の悪役にうってつけで、そこに追加される新井浩文の中途半端な存在も良い。〜この演技がもう見られないかと思うと甚だ残念でしかない。
まあ 言われてみれば、
押しかけて来る狂言切腹は、来られた方もこれはこれでただの迷惑にしか過ぎないではないかと見えてしまう、という意見はごもっともであり、海老蔵の殺陣を見つつ、そういう風に感じたのも正直なところではあった。
この作品では、容赦ない体面のみを重んじる武士という存在の空虚さ を描こうとしている訳で、
国民一律医療も公的扶助も一切なく 雇用を切り捨てられた者はもはや生きていく事自体が困難となる有り様を描き切った。
竹光で美しい演舞とも言える殺陣を見せる海老蔵浪人の頑張りは、竹光であるが故に相手の人数は全く減りはしないのでいつまで頑張ろうが終わりはない。
海老蔵の刀は実は三人の死の時は竹ではなく、瑛太は父から譲られた立派な一振りを既に金に変えていたのに自分は武士の矜持に縛られていた(あってる?)事すらも恥ている。たぶんその後に竹に変えて井伊家へ という事のように見えた。だからこそ
ホンモノの刀を持つものが怯む程の殺気を 人を一太刀で切り捨てられる武器を手にしているからこそひしひしと感じて腰が引けてしまう、その描き方は見事だった。
と思ってしまって ほお〜っと思いつつ視聴し終わった私は物知らずなのか、となったのだった。
配信でしか見てないしね、という弱みでもあります。
とは言え前作の「HARAKIRI」を この作品以上に残忍さを増す物を 見たいかというと まあ 見なくてもいいか と思う。
肩入れしてはいけない
満島ひかり、、出演作品。江戸時代初頭、大名の御家取り潰しが相次ぎ、...
勿体ない
三池作品は「十三人の刺客」以来の時代劇。
前回と違ってかなり全体抑えめなトーンで展開していく。
途中から昔に遡って進むんだけど、
昔の話の端折り方が上手いなあと。
遡る前に出てたキーワードを、どこで言うかとか、
あの‘物’はどのタイミングで…とか、
ちゃんと話の流れの中で見せてるので、
話の理解度が増していくのが楽しい。
あとネコの使い方。
ネコを武士にダブらせて、憎いね。
この監督は時代劇が合っているのか、
それとも元作品(これリメイク)がしっかりしているのか。
ただ最後の殺陣は必要だったのか、それにしても長くないかとか、
面目という飾りを嘲ったものの、ラストは哀しいし。
全体的に哀しい話で高揚感はない。
海老ちゃん凄みは良かったけど、台詞が聞き取りづらい。
役所広司も満島ひかりもいつもの良さ。
瑛太は時代劇にしては台詞が早口過ぎかな。
あと竹中直人が勿体ない使われ方。
三池監督
同一原作に『切腹』がある。 三池監督にもこんな静の作品が作れるんだな!と感心する。出来ればこの路線を続けてほしいものだと願うばかり(笑)。
瑛太演じる千々岩は妻子のために3両が欲しかっただけだが、武士の面目を重んじる井伊家ではそんな簡単にはいかなかった。望むなら庭先を貸して思う存分切腹すればいい・・・しかし事態はそんな単純ではない。貧困のため刀も脇差も竹みつだった千々岩。家臣の沢潟(青木崇高)はその竹光で切腹させようとしたのだ。なかなか腹に刺さらない千々岩。苦しんでる姿に情けをかけて家老自らが介錯する・・・
同じように津雲が切腹する前に、彼は沢潟、松崎、川辺に介錯を頼みたいと申し出るが、その三人は姿を消していた。そして、哀れな娘婿、千々岩の話を始めるのであった・・・
津雲も千々岩もともに福島正則の家臣であったが、主君亡きあとの広島城受け渡しにより浪人となった身。関ヶ原では同じ東軍だったのに!という部分も虚しく響く。平穏な時代がやってきているのに武士の面目だけは残ることがいかに窮屈なことか。現代に置き換えてみても、単なる詐欺にしか思えない行為なのだが、実際に切腹するとなると侍魂がいかに邪魔になるかがわかる。
津雲が語る千々岩の生活ぶりは哀れでしょうがない内容。しかも孫が死にそうな状況で医者に診せるための3両欲しさに・・・やがて孫は死に、千々岩の死体が届けられたときには妻である美穂(浦島)も自殺。しかし、津雲の復讐心は武士とはなんぞや?と問いかけるような行動。沢潟らを殺すわけではなく、髷を切っただけなのだ。クライマックスでは竹光で大勢の井伊家家臣を相手に大乱闘。彼には相手を殺す気なんてのはないのだ!殺陣もさすがだけど、心にグサッとくるものがある。
切腹=現代の自殺ではないということか。
役者さんが悪いのか、演出が悪いのかしらないけど、みんな軽い感じで悲壮感がなく、悲惨なだけだった。
三池監督は、すごいチャレンジャーだと思います。今までいろんなことに挑戦して、とうとう日本映画の歴代最高レベルの名作に手を出した。
これは自分の演出力に、かなりの自信がなければできないことだと思います。
でもちょっと不思議なのは、宣伝とか解説その他に小林正樹監督の「切腹」のリメイクと書いてないことです。
ということは、別物だから比較しないでということで、真っ向勝負というわけでもないのかな?
内容的には、いわゆるリメイク映画と比べるとよくできている方だと思うけど、やっぱり元が超名作だけに、真っ向勝負はきびしいかもしれないというレベルでした。
いろいろイラっとくるところはあるけど、一番気になるのは配役かな?
仲代さんがやっていた役が、海老蔵さんでは、軽くなり過ぎ。作ったときには想定外だったのかもしれないけど、暴走族に殴られて逃げ回っているイメージがあってよくない。
やるなら瑛太さんところでしょう、それだったらピッタリだった。
海老蔵さんのところは、ベタだけど、役所さんがやればよかったと思う。
それから、満島さんのところもかわいいけど、よくない。
幸うすい感じはいいのだけれども、童顔すぎて悲壮感(悲しさの中でりっぱに振る舞うようす)がない。
全体的に言えるけど、役者さんが悪いのか、演出が悪いのかしらないけど、みんな軽い感じで悲壮感がなく、悲惨なだけだった。
テーマ的にも、別に同じにする必要はないけど、前は「カティンの森」(2007)的なものだったのに、今回は単なる復讐劇というか、武家社会への反抗みたいなものがメインで、だいぶ軽くなっていて、あまり共感できなかった。
それから、劇場で3D版で見たけど、覚悟していたとはいえ、3Dだったのは雪と文字だけという、とんでもなく酷いものだった。
私的には…
海老蔵凄い!
静かな作品。途中でウトウト?
この映画はただのHARAKIRI映画じゃない!深いテーマと静かな感動がある
この映画での三池崇史監督の演出は巨匠の域。
真摯で重厚な演出、深い突き刺さるようなテーマ、俳優から名演を引き出し…
撮影、美術、衣装、音楽、殺陣…全てまるで匠の技。
こういう三池映画もイイ。もっともっと見たい。
映画は終始、悲しみに満ちている。
娘婿も娘も孫も一気に全て失った半四郎の悲しみ…
妻子の為恥も外聞も捨てて狂言切腹をするが、見せしめとして命を落としてしまう求女の悲しみ…
病弱な為父や夫に苦労をかけてしまう美穂の悲しみ…
切腹シーンも含め、確かに重く暗いシーンが続くが、その裏に家族愛を感じた。
貧しいからこそ互いを思いやる気持ち、新しい命が誕生した時の喜び…家族の絆は尊い。
彼らのような貧乏浪人以外の武士たちは建前ばかりを気にし、憐れみの欠片も持たなくなった。
これは、希薄になった現代の人間関係にも通じる。
この映画の英題は“HARAKIRI”。
鬼気迫る切腹シーンや3Dでの公開など、そういう所ばかり話題になっているが、そうではない奥深いテーマも感じ取って欲しい。
私の好みにはあまり合わない作品でした
この作品、2時間ちょいなんですが、あらすじをかいつまんで説明すると、おそらく5分で終わります。悪く言うとイベントが少ない、よく言うと、それだけゆったりと話が進むというか、丁寧にしつこく描いているというか、そんな映画でした。
市川海老蔵の演技は、よくも悪くも印象的でした。やっぱり目力はすごいですね。ただ、どこか歌舞伎の見得のようで、ナチュラルな芝居の中ではやや不自然に感じました。語り口もまた然り。わざとらしい発声と言い回しに思えました。まあ、その不自然さが、何を考えているのかわからない役柄とあっていたようにも思えます。
大名屋敷のインテリアがまた、あまりナチュラルではないデザインでした。なんというか、ハリウッド映画に出てくる日本家屋みたいな雰囲気。ああいうデザインのものが実際にあったのかなあ。
まあそんなわけで、作り手側は決して手を抜いているわけではないと思うのですが、私の好みにはあまり合わない作品でした。
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