劇場公開日 2011年10月15日

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「この映画はただのHARAKIRI映画じゃない!深いテーマと静かな感動がある」一命 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0この映画はただのHARAKIRI映画じゃない!深いテーマと静かな感動がある

2012年4月13日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

知的

この映画での三池崇史監督の演出は巨匠の域。
真摯で重厚な演出、深い突き刺さるようなテーマ、俳優から名演を引き出し…
撮影、美術、衣装、音楽、殺陣…全てまるで匠の技。
こういう三池映画もイイ。もっともっと見たい。

映画は終始、悲しみに満ちている。
娘婿も娘も孫も一気に全て失った半四郎の悲しみ…
妻子の為恥も外聞も捨てて狂言切腹をするが、見せしめとして命を落としてしまう求女の悲しみ…
病弱な為父や夫に苦労をかけてしまう美穂の悲しみ…

切腹シーンも含め、確かに重く暗いシーンが続くが、その裏に家族愛を感じた。
貧しいからこそ互いを思いやる気持ち、新しい命が誕生した時の喜び…家族の絆は尊い。

彼らのような貧乏浪人以外の武士たちは建前ばかりを気にし、憐れみの欠片も持たなくなった。
これは、希薄になった現代の人間関係にも通じる。

この映画の英題は“HARAKIRI”。
鬼気迫る切腹シーンや3Dでの公開など、そういう所ばかり話題になっているが、そうではない奥深いテーマも感じ取って欲しい。

近大