「純粋な僕等がいた、昔。」僕等がいた 後篇 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
純粋な僕等がいた、昔。
前篇が終わって間もなく後篇、っていうのは有り難い。
間があくと、その時の感情が薄くなってきてしまうので…。
前篇がかなり良かったので、後篇も期待していたが、
まぁ予想通りの展開で、前編の良さには遠く及ばなかった。
でも考えるとある意味、学生時代の恋愛がキラキラしている
というのは本当、社会に出て世知辛い現実を味わえば自ずと
皆がそういう想いに至る。…となれば、これはリアルなのか^^;
うーんしかし、、人生いろいろとはいえ^^;
矢野が味わう人生の重さは後篇でもかなりのものがある。
少女漫画の世界には必ずある「不幸」という設定は分かるが、
幾らなんでも、ここまで障害が立ちはだかり過ぎるのも酷い。
そしてそれは、矢野を追い回す山本(本仮屋)にも通じるのだ。
この物語は恋愛モノとしては同世代の人達向けなのだろうが、
私達の世代にとって「親」としての資質を問われる内容がある。
親の育て方、接し方如何で、子供はこうも不幸になる…と。
男は(若かろうと歳だろうと)好きな相手に弱みは見せたくないの
だろうが、いきなり音信不通になられては、どんなに慈悲深い
女でも、そうは待っていられないものだと思う。今作の七美は
あくまでその想いを守り抜こうとするが、それが周囲の人生を
巻き込んでしまう純粋であるがゆえの残酷さ、に繋がっている。
後篇での彼らの感情の見せ方は、前篇のズキズキするような
痛みと違って、相手のためにと動けば動くほど傷つけてしまう
大人対応の結果を見せられている感じだった。実際にそんなに
何年も逢わずにいれば、お互いそれなりの人生に甘んじたまま
毎日を過ごしていくものなのだが、運命の再会を信じて…!?と
いう読者鑑賞者の期待を裏切らない怒涛の展開に目が離せない。
それにしても本当に…
自分の人生を振り返り幸か不幸かを考える年代になってみると、
あの時あんなに絶望した一時が、まるで懐かしい想い出のように
甦ってくる。あの出来事があって、あの絶望を味わったからこそ、
今こうやって漫然と(爆)生きていられるのかもしれないなぁと…。
いい意味でも悪い意味でも人間は図々しく図太い生き物なのだ。
ピュアな気持は失いたくないけれど(汗)
すごく純粋な僕等がいたのは、昔。という事実をこうして味わい、
想いを巡らせることができるから、現在を生きてゆけるのである。
…なので、想い出には乾杯。
(子供には親の絶大な愛情と信頼が必要、束縛しすぎもNGだわ)