劇場公開日 2011年2月19日

「【清廉なる中国武術・詠春拳の達人、イップ・マンの半生を旧帝国陸軍に屈しない姿と共に描いた作品。特に後半の空手VSカンフーの試合のシーンは、中国の民の喝采と咽び泣きが聴こえてくる様な作品でもある。】」イップ・マン 序章 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【清廉なる中国武術・詠春拳の達人、イップ・マンの半生を旧帝国陸軍に屈しない姿と共に描いた作品。特に後半の空手VSカンフーの試合のシーンは、中国の民の喝采と咽び泣きが聴こえてくる様な作品でもある。】

2024年5月27日
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ー 香港映画界最強の男、ドニー・イェンが伝説の武道家イップ・マンに扮したアクション映画である。-

■1930年代、中国広東省。
 詠春拳の師範として活躍していたイップ・マン(ドニー・イェン)は家族と平穏な日々を過ごしていたが、やがて日中戦争が勃発する。
 日本軍に家も追われ貧困の日々を強いられる中、イップ・マンは日本軍の兵士、佐藤に中国武術を教えるよう強要される。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・矢張り、ドニー・イェンのカンフーは流れるように美しいモノである、と久方振りに鑑賞して再認識する。
 柔よく剛を制すではないが、彼の方のカンフーは相手の技の力を微妙に分散しながら受け流し、俊敏な動きで逆襲に出て、一気に攻めるスタイルが完璧に出来上がっている。

・今作は、道場荒らしに来た男カムが佛山の武闘家を次々に倒す中、ドニー・イェン演じるイップ・マンが、軽々とカムを倒す所から、旧帝国陸軍の空手の達人、三浦(池内博之:柔道が得意だが、空手もナカナカである。)が率いる日本軍人たちと、米を賭けて佛山の武闘家達が戦うシーンの流れが、シンプルだがとても見易いし、旧帝国陸軍の佐藤の卑怯な姿が際立っている。
 故に、中華圏のこの映画を観た民が、イップ・マンを激しく応援する姿が見えるようである。

・イップ・マンと三浦の中国人民が見守る中でのカンフーと空手の一騎打ちシーンは見応えがあるし、イップ・マンが三浦をコーナーに追いつめ拳で連打するシーンなどは、日本人である私が観ていてもイップ・マンを、応援してしまう。
 だが、池内博之演じる三浦も、佐藤と違い礼を弁えた男として描かれているのも、とても良い。

<勝者、イップ・マンに対し卑怯極まりない佐藤が銃弾を撃ち込むシーン。彼がリングから地に倒れ込む姿をスローモーションで映し、その後苦労しながら通訳をしていたリー・チウが佐藤の銃で、彼に対し銃を発砲するシーンの流れも良い。
 今作は、中国の民の喝采と咽び泣きが聴こえてくるような作品でもある。>

NOBU