劇場公開日 2012年4月28日

「日本の風呂文化を学ぶ古代ローマ人を描いた王道喜劇」テルマエ・ロマエ みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5日本の風呂文化を学ぶ古代ローマ人を描いた王道喜劇

2023年4月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

古代代ローマと現代日本という異質な国と時代を舞台にしたユニークな作品である。

主人公は古代ローマの公衆浴場設計者であり、現代日本へのタイムスリップを繰り返しながら、古代ローマの大衆浴場に日本の銭湯文化、科学技術を取り入れて成功を収めていく。古代ローマと現代日本を大衆浴場という接点で結びつけてしまった着想に脱帽したが、主人公の真面目さが堪らなく可笑しい。

国を超え、時空を超えても、主人公は古代ローマの大衆浴場設計者として大真面目に振る舞う。現代日本を同時代の平たい顔族(日本人)の国だと信じて疑わない。また、特に、古代ローマの部分は建物、街並みのセットも立派で、主人公以外も真剣に演技をしている。歴史上の人物(皇帝)も登場するので歴史劇を観ているような雰囲気がある。

喜劇の王道は、本作のように、場違いな場所、状況で、役者が真面目、真剣に振る舞うことだと言われる。邦画では『男はつらいよ』が典型である。主人公である寅さんは、いつも大真面目で恋愛をしているが、それが叶わぬ恋であること、寅さんの気持ちが一方通行であることを観客は熟知してる。故に、寅さんが大真面目になればなるほど、観客は爆笑する。観客を無理に笑わせようとして可笑しなことをしたり、突飛な行動をする必要はないのである。

また、主人公はウォシュレットも古代ローマに取り込むが、自動化、電化したものは、奴隷がやっているだと誤解した結果である。しかし、主人公の誤解に無理はなく納得してしまう。意図的か否かは分からないが、自動化、電化といっても、所詮、人間が手動でやってきたことの置き換えにすぎないという科学技術に対する痛烈な皮肉になっている。

友人に勧められるままに、事前情報を一切収集出来ずに観たが、想像以上だった。王道の喜劇をベースにしながら、歴史劇、科学技術への問題提起を盛り込んだ傑作であった。

みかずき
りかさんのコメント
2023年6月24日

こんばんは😊
『新聞記者』『ちはやふる•上』『ちはやふる•結』に共感いただきましてありがとうございました😊

みかずきさんのレビュー、いつもながらさすが❗️の一言❗️
『新聞記者』の松坂桃李と『ちはやふる』の広瀬すずの『流浪の月』がとても良かったのですがレビューまだです。
また今後ともよろしくお願いいたします🤲

りか