「平たい顔族とは言い得て妙」テルマエ・ロマエ pipiさんの映画レビュー(感想・評価)
平たい顔族とは言い得て妙
原作愛読者です。
2000年頃に漫画蔵書が1万冊を超えてしまい「もうコミックスは余程の傑作以外は増やさないぞ!」と誓って削減に入ったにも関わらず買ってしまった思い出深い作品です。
果たして映画化は?と問えば、充分に満足できる出来でした。
唯一の不満はヒロインかな。
原作ヒロインさつきは、ルシウスが月の女神ディアナに例えるほど聡明で清楚で美しい女性。東大の院卒、オックスフォード大にもツテのある古代ローマ史研究者。英・伊・仏語に加え古代ラテン語も操る才媛。
彼女の魅力があればこそ、ルシウスとの淡くも、じれったい関係が読者の応援意識を呼び起こします。
そんな「さつき」が、まるで別人格の「漫画家志望OL」の真実に変更されてしまった事は受け入れ難い。大幅減点の理由はここだけですね。
(その分、内田春菊出演は驚いたし、感動ものだったけど)
阿部くんの演技は見事でした。原作のトピックを非常によく表現してくれて感謝です。(主人が高校の同級生で、休み時間にプロレス技を掛け合う程度の友人だったので、我が家では阿部くん呼ばわりw向こうが覚えていてくれてるかはわからないけど)
ルシウスは日本の風呂文化にカルチャーショックを受けましたが、私は作者ヤマザキマリ女史の経歴にカルチャーショックを受けました。
齢14にしてフランスやドイツ一人旅、17では単独イタリアで一人暮らしってんですから。
私より少し年上ですが、世代的には大差ないので「そんな10代を送っている同世代がいた」事が激しいカルチャーショックです。こちとら、中学生の頃なんて英語も学校で習い始めたばかり。行動範囲は学校で定められた学区内程度ですよ。まったく羨ましい!
そんな訳で、自分の子供達にはヤマザキマリ女史と似たような体験が可能になる育て方をしてみましたw
地球上、人の住む文化的なエリアならばどこに放り出されても生き抜いていけるか、或いは何とか自力で日本に帰国出来るだけの語学と家事能力と胆力は15歳時点で習得していると思います(笑)
ともかく、ヒロインの大幅改変以外は、諸手を挙げて絶賛出来る良作でした。
レプリカントさん、ありがとうございます。
私は、小学1年生の時に将来の職業を自分で決めてしまったのですが、違う道を目指すならば「漫画雑誌の編集者もいいな」と思っておりました。
好きな作家は、別格で青池保子。
他は70年代、80年代を代表するような描き手はみんな好きです。
中学入学までは母に漫画単行本の購入を禁じられていた為、その反動か中学以降は定期的に古本屋でまとめ買いをし、一切捨てようとしないから溜まってしまいましたw
息子へのお言葉もありがとうございます!今年度、大学受験です。試験は水モノですが、なんとか頑張って貰いたいものです。